工場排水をカネに換える、味の素のしたたかな戦略

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副生物を最大に利用 9カ国で専門部隊

「成功のカギはビジネス化にもあった」と永井常務はふり返る。

排水処理の際に発生する約230万トンもの副生物を利益を生み出す商品に変貌させたのだ(下表参照)。副生物は窒素など一般肥料と同じ物質を多く含むため、そのまま液体肥料などとして再利用が可能だ。味の素でも80年代から肥料化していたが、これまではすべての使用先を見つけられず02年までは一部を海に投棄していた。

これを「コプロ(もう一つの製品)」と名づけ、高付加価値化を推進。07年にタイで肥料専用の販社を立ち上げるなど9カ国で専門部隊を創設。営業担当が直接、散布法などを説明する地道な営業活動で、現在は9割以上を商品として販売し、長年の課題をカネに換えるというウルトラCに成功している。

国内市場の飽和でアジアに目を転じる食品メーカーは多い。だが、アジア諸国では外資系企業に対して国内企業以上の環境対策を求める傾向が年々強まっている。ハードルを乗り越えるには、味の素のような知恵が必要だ。

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(麻田真衣 =週刊東洋経済2010年12月4日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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