田母神氏「次世代の党」から出馬、勝ち目は? 立候補の狙いは「自公連立の解体」
これを2012年の衆院選挙の結果にあてはめてみよう。太田氏の得票数は11万4052票で全体の51.4%、比例区で復活当選した日本未来の党(当時)の青木愛氏は5万6432票で全体の15.4%だ。12%の田母神氏は彼らに及ばず、小選挙区当選は難しい。仮に4万票といわれる北区の無効票が全て田母神氏に入ると仮定しても、青木氏には勝てたとしても太田氏には及ばない。前述の公明党関係者が述べる通り、太田氏は2003年の衆院選以来、12区で約10万票の獲得し続けている。
だが田母神氏が比例区で高順位となれば当選の可能性がないわけではない。2012年の衆院選で、石原慎太郎氏を1位に据えた日本維新の会(当時)は、東京ブロックで129万8309票を獲得し3議席を得ている。今回も次世代の党は、いったん政界を引退する意思を漏らした石原氏を引き戻し、複数議席の獲得を狙っている。
田母神氏の立候補で割を食うのは?
では田母神氏の出馬により、誰がわりを喰うのか。それは青木氏ではないか。
青木氏は2009年の衆院選で、参院比例区から衆院東京12区に鞍替えした。幹事長として当時の民主党を勝利に導いたのは小沢一郎氏だったが、青木氏を鞍替えさせたのも小沢氏の戦略だった。アンチ公明票を狙うためには、若くて見栄えのいい女性を候補にするのがいい。この時は民主党が大躍進したこともあり、青木氏は11万8753票も獲得した。党代表として比例に重複立候補しなかった太田氏は、10万8679票も獲得しながら落選した。
しかし青木氏は2012年に民主党 を離党。日本未来の党公認候補として出馬した同年の衆院選では、得票数は前回の半分に減少し、惜敗率は50%に満たなかった。それでも勝利したのは、日本未来の党が東京比例区で議席を1つ獲得したからだ。小政党ほど惜敗率が低くとも、比例区で救済されやすい。
そういうわけで田母神氏がアンチ公明票を狙うなら、青木氏の票が減ることになるだろう。公明党にとっては痛くもかゆくもない。
前述の公明党関係者はほくそえむ。
「我々は有権者の選択が広がることを歓迎する。むしろ共産党との一騎打ちの方が怖い。共産党が躍進すれば、彼らのプロパガンダに勢いがつくからだ」
公明党にとって田母神氏は敵ではないということか。もし次世代の党が予想以上に議席を獲得したとしても、自公連立を崩すのは難しい。
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