不妊治療のお金「保険適用」でどう変化?実例検証 自己負担は原則3割、「高額療養費制度」も利用可

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助成金は原則この3月をもって終了することになるが、継続されないのだろうか。

東京都に助成金の継続に関して問い合わせたところ、「2022年4月1日以降に開始した治療に関して、助成制度を継続できるかどうかは、国からの通達がなく、まだ方針が決まっていない」と回答があった。神奈川県も同様の内容をホームページに掲載している(2022年3月27日時点)。

助成金の財源は、国が半分、実施主体となる都道府県・指定都市・中核市がもう半分を負担している。そのため、国からの補助がなければ助成金事業を継続するのは難しくなるものとみられ、実際、鳥取県など一部を除いて、助成金事業の継続は公表されていない。

厚生労働省に助成金の方針について問い合わせたところ、「2022年3月31日までに開始し、年度をまたぐ治療については経過措置として1回に限り助成の対象とするが、4月以降に開始した治療については国の補助はない」との答えだった。

理由は、「助成金の要望が強いのは、主に保険適用外の治療を受けたい人。今回、国として安全性や有効性が認められる治療かどうか、“色分け”をしたわけなので、そこ(保険適用外の治療)に公的資金を投入しようという考えはない」(厚労省担当者)ためだという。

不妊治療「国の負担」はどう変化?

不妊治療の助成事業の予算額(国費分)は、2021年1月から2022年3月までの15カ月間で370億円。一方、2022年度の予算案では、不妊治療の保険適用拡大に伴う社会保障費(国費分)は145億円とされている。

このほか、前述の年度をまたぐ治療の予算(67億円)などが計上されているが、それを加味しても不妊治療そのものに関連する国の負担は減る可能性が高い。

国の負担が減る可能性が高い理由は、保険適用によってほかの治療と同様に、医療費のうち被保険者や事業主から支払われる「保険料」でまかなわれる分が増えるためだ。

これまで経済的な理由で不妊治療をあきらめていた人や十分にできなかった人、保険適用の範囲内の治療でおさまる人にとっては、保険適用が朗報であることは間違いない。一方で、制度上「逆効果」が出てしまう人がいることも事実。保険適用の成否が問われるのはこれからだ。

(1日目第3回はデータが示す「日本の不妊治療」知られざる実態

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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