アンガーマネジメントができない幼少期に「大人が介入できない場所でのトラブル経験」が重なると、よくないコミュニケーションが強化されてしまうように感じます。そうなると、メタ認知(※1)の力が育たず、粘り強さがなくなり、安易に面白いかどうかで物事を判断するようになっていく。ここは非常に心配しているところです。
※1 心理学用語。自分の認知活動を客観的に捉えていること
3つ目は、「課金などの金銭が絡むトラブル」。当初は「無料」のゲームも、難易度が上がるにつれ、課金による新たなアイテムの使用が求められます。「お年玉をゲーム内課金にすべてつぎ込んでしまった」という子も。保護者のクレジットカード番号を聞き出して友達と番号を共有し、40万円程度の課金をしてしまった事例もあります。
いつでもどこでもスマホで気軽に遊べるソーシャルゲーム(※2)は、SNS上での情報共有が盛んで、「ガチャでこんなアイテムをゲット!」などの情報を目にする機会が増えます。射幸心があおられ、とんでもない額の課金をしてしまう人が後を絶ちません。
※2 略してソシャゲ。オンラインゲームの一種で、SNSの登録が必要
僕もソシャゲをやめるまで、2年半ほど課金し続けました。四六時中スマホが気になるのです。子どもは大人以上に自分をコントロールできませんし、「親に頼んで課金しろ!」なんてあおられて課金してしまうおそれもあります。
このほか、小学生が個人情報をチャットに書き込んでしまい、ネット上にさらされることも。そこで心の傷を負っても、親に言えないのでケアが届きにくいという難しさがあります。10年前に僕が初めて対処したトラブルに比べ、質の変化を感じています。
――10年前のトラブルとは?
10年前は、中学校で「学校内掲示板」「学校裏サイト」などが問題化した頃。小学4年生の間で、「アメーバピグ」というアバターを使った交流の場が流行し、そこで「仲間外れや悪口の言い合いが発生している」と保護者から相談がありました。
当時、同僚でアメピグをやっている人は皆無。担任の先生は、子どもたちに聞いても「どうせ先生わかんないでしょ」「先生に相談すると禁止されるから言いたくない」と言われてしまい、困っていました。
そこで、アメピグにはまっていた僕が、潜入捜査をすることになりました。保護者と管理職の了承を得て、アメピグ内で子どもたちと交流。僕が仲介役となってルーム内で話し合いを進めた結果、問題は解決されました。僕が「同じ世界にいる大人」だったからこそ介入できたというのもありますが、学級トラブルの延長線上の問題だったから対応できたんですよね。
ところが今は、全然知らない人と日常的にやり取りするので人間関係の幅が広く、課金も簡単。かつ暴言やあおりがエスカレートしやすい仕組みの中、リアルとネットの境界線があいまいになっている子が増え、問題が複雑化しています。
「家庭の問題」を学校が対処するのは「無理ゲー」だ!
――教員や学校はどう対応したらよいでしょうか。
オンラインゲームのトラブルは、すべて学校外で起きています。そもそも、ゲームには「年齢別レーティング制度(※3)」があり、ゲームの内容ごとに対象年齢が定められています。

















