大川翔、カナダ政府に「9歳でギフテッド認定」天才はどう勉強してきた? 「ギフテッド教育」日本と海外では何が違うのか

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――日本の学校教育について課題と感じられていることや、学校の先生や教育関係者に向けたアドバイスがありましたらお願いします。

僕は、日本の学校教育にはいいところがたくさんあると思っています。給食があり、音楽や技術家庭などの科目もあり、各学校にはプールがあり、水泳の時間もあるし、クラブ活動も活発で、授業終了後には教室の掃除をみんなでするなど、すばらしい点がたくさんあると思います。僕も、実際日本に一時帰国をした際、日本での学校生活を体験し、とてもよい印象を持ちました。

生徒が教室の掃除をすることは、日本では当たり前とされていると思いますが、世界的にはかなりユニークなんじゃないでしょうか。とくに日本の学校がYouTubeやアニメなどで紹介されると、日本の学園生活に憧れを持つ人たちが多くいることに気づきます。また、部活動がとても活発だったり、面白そうな学園祭などの行事があるなど、アニメの影響もあるかもしれませんが、とても楽しそうに見えます。

ただ、その反面、日本の学校では先生がちょっと忙しすぎるかもしれません。(僕の体験の範囲での話なので、エリアによって違うかもしれませんが)カナダでは、1クラスが20人程度のうえ、小学校高学年になると、クラス内にサポートティーチャーがいることが多かったです。また、上の学年の生徒が下の学年の生徒に本読みを教える時間があったり、クラス内のできる子が先生の助手になったりするなど、先生は1人ではなく、複数の大人や子どもの手を借りながら、クラスをグループ分けして指導していました。

今後、日本で次々に新しい教育システムが導入されていくのは、選択の幅が広がるという意味で、必要なことだと思います。しかしながら、教育システムはその国の文化と密接に関係していて、その文化の違いが教育システムの違いになっている。そのため、他国のシステムを形式だけ導入してもなかなかうまくいかないと思います。日本の教育制度のよいところは残しつつも、日本の実情に合わせた導入ができるのかが今後の課題だと思います。

――これからのご自身の目標や、やりたいことなどお聞かせいただければと思います。

UBC大学院での研究を続け、何らかの形で研究者として世界に貢献することができたらと考えています。また、「Build a Brighter Future!」という意気込みを持ち、みんなと協力して、明るい未来をつくるために活動できたらと思っています。

具体的な活動としては、自分の研究活動のほか、ギフテッド教育を担当する先生たちと連携し、カナダのギフテッドの中学・高校生向けのプログラム(大学院での先端研究の基礎をオンラインで解説するセミナーやビデオ解説)、STEMLinkを立ち上げました。

去年はカナダ内のみでの活動でしたが、今年は活動の枠を広げ、香港やコスタリカの高校生向けにもセミナーを開催します。教える大学院生も、カナダだけでなくアメリカや日本や英国やフランスやオランダやドイツなどの大学院生たちと連携していく予定です。今後さらに他大学の院生との連携を積極的に行い、いずれ日本の高校生に向けても展開していけたらいいなと考えています。選択肢を広げ、ギフテッドの居場所をつくるというのが、課題の1つであり、その一助になればという思いで活動を続けていけたらと思っています。

大川 翔(おおかわ・しょう)
2022年3月現在、22歳。5歳半の頃、カナダへ。キンダーガーテンおよび公立小学校へ入学。9歳でカナダ政府にギフテッドと認定され、12歳で公立高校に飛び級進学。2014年6月、14歳で高校卒業およびブリティッシュコロンビア大学(UBC)、マギル大学、トロント大学など、カナダの5大学に奨学金付きで合格。カナダのテレビ・新聞で報道され、話題となる。14年9月、UBCサイエンス学部へ入学。15歳の時、カナダ政府からカナダ総督アカデミックメダル賞、17歳の時、UBCサイエンス学部長賞など受賞。17年、米国グラッドストーン研究所でインターン。18年5月、18歳でUBC卒業(バイオロジーオナーズ)。同年7月、孫正義育英財団第2期生に選ばれる。同年8月から20年8月まで東京大学先端科学技術研究センターにて研究。19年4月、慶応大学大学院入学。同年7月、慶応大・東大・トロント大の共同プロジェクト担当者に選ばれ、トロント大大学院へ出向。21年3月、慶応大学大学院(先端生命科学専攻)修士課程修了。現在、UBC大学院バイオメディカルエンジニアリング在学中。ブログ:実録!翔の「極楽カナダ生活」

(文:國貞文隆、写真:すべて大川翔氏提供) 

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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