トヨタ新車販売店が旧車レストアに注目する理由 神奈川と富山のディーラーの絶版車サービス
同社担当者によると、「この車両は60年間、ひとりのオーナー様が乗られてきた愛車で、大切に保管されていたもの」だという。ところが、ある日、高齢のオーナーが入院し、病床に同社の担当者を呼んで、ひとつの提案をする。それは「転売しないこと、ひとりでも多くの人に見てもらうべく努めること」という2つの条件を守るのであれば、「愛車を譲る」というものだった。同社は、この提案に同意し、車両を譲り受けたが、提案を受けた1週間後にオーナーは他界。貴重な遺品となった。
他界した元オーナーとの約束を守るべく、同社では約2カ月をかけてレストアを実施した。大切に保管されていたとはいえ、60年以上前のクルマだけに劣化している部分も多い。各部を徹底的に修復した。内外装、ガラス、インパネ類、ボディASSY(アッシー)、エンジン、各パネル類にいたるまで、分解できる部位はすべて分解して、徹底したレストア作業を行ったそうだ。
ちょうど、当時(2015年)は、トヨタや全国のトヨタ店(クラウンを専売していた販売チャネルのひとつ。現在は全店で全車種併売)で、初代から7代目までのクラウンをレストアする「DISCOVER CROWN SPIRIT PROJECT(ディスカバー・クラウン・スピリット・プロジェクト」という活動が行われており、同社はそれに参画。翌2016年には、初代クラウンを生産し、生まれ故郷といえる愛知県豊田市の元町工場を出発し、東京の代官山までの約430kmを走破するイベントにも参加し、見事に走りきった。以後も同社は、神奈川県内にある関連ディーラー53店舗へ当車両を巡回展示するなどで、「多くの人に見てもらうべく努める」というオーナーとの約束を守っているという。
スタウトも同様に譲り受けてレストアを開始
今回展示されたスタウトも、同じく長年オーナーが保管していた車両だ。約60年前に神奈川県座間市の農家が、農作物の出荷などに使っていたもので、オーナーが亡くなった後は、故人の大切な思い出として遺族が所有。そんなとき、家族がクラウンの話を聞き、同社へ無償寄贈を申し出た。納屋に約40年間も眠っていた車両だったが、同社では、苦労を重ねながらレストアを施し、クラウンと同様に、現役さながらの姿へ修復した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら