トヨタ新車販売店が旧車レストアに注目する理由 神奈川と富山のディーラーの絶版車サービス

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セリカのリヤビュー(筆者撮影)

同社が行うレストア事業の特徴は、あくまで「利益を追求する」ことだ。トヨタモビリティ神奈川が無償で行っているのに対し、一般のショップと同様、オーナーから有料で古いクルマの修復を請け負う。

レストア事業をはじめたきっかけは、2008年に同社の創業40周年事業として、1960年代の小型車「パブリカ」の復刻を手がけたこと。以後、10年以上にわたり、さまざまな車両のレストアを手がけ、現在は、2018年に設立したGRガレージ富山新庄が主軸となっている。

トヨタ車に限らず、有償でレストアサービスを展開

レストアされた初代チェイサー(筆者撮影)

担当者によれば、同社サービスの対象車種はトヨタ車だけでなく、「車輪がついていれば何でもレストアする」という。実際、過去には、フォルクスワーゲンが販売したクーペモデルの1968年型「カルマンギア」や、ポルシェの1970年型「911T(901型C)」など、輸入旧車のレストアも手がけている。旧車レストア専門店さながらに、幅広い車種を扱うことも同社サービスの特徴だ。

レストア作業には、会社(ネッツトヨタ富山)を引退した60代のエンジニアを再雇用し、専用ピットで行っている。近年は、古いクルマを修理できる「腕のいい職人」が不足しているため、「昔からの修復技術を伝承することも兼ねて、お願いしている(同社担当者)」という。ただし、現在は1名のみで作業を行っているため、こなせる車両数にはおのずと限界もあり、レストア作業は2年待ちという状態。また、国産旧車、とくにトヨタ車の場合は、「1980年代のクルマでも、純正部品が生産終了となっているため、まったくメーカーから出てこない」。そのため、作業にかなり困難をきたすケースも多いという。

例えば、今回出展したセリカの場合も、ボディに施されたデカールやステッカーすらメーカーに在庫がなく、別車両などからスキャンしたデータをもとに特別制作したそうだ。なお、レストア費用の総額は、内外装や動力系などの修復を含め「約600万円程度はかかった」という。担当者は、「フォルクスワーゲンにしろ、ポルシェにしろ、輸入車のほうが古い車種でも純正部品がいまだに生産されていることが多い」と語る。

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