ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち スコット・パタースン著/永峯 涼訳~思い知らされるリスク管理の難しさ

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ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち スコット・パタースン著/永峯 涼訳~思い知らされるリスク管理の難しさ

評者 高橋 誠 ユナイテッド・マネージャーズ・ジャパン会長

 リーマンショック以降、多くの関連本が出版されてきた。本書はその中でも米国でベストセラーになった本の翻訳である。

クオンツとは、数理分析の手法を駆使したモデルを構築し、対象となる証券の割安、割高の判断を行う、ヘッジファンドなどの運用スタイルと、その運用者を指す。運用者の経験に基づく感やその時の市場のムードに流されたりせず、客観的なモデルによって冷静な判断に基づき売買するので、当然運用者も高度な数学的能力を持つことが前提である。

本書は、ゴールドマン・サックスの自己勘定部門から独立した人物、ハーバード大学の学生寮から転換社債の裁定取引を行いヘッジファンドを設立した人物、投資銀行2社の社内ヘッジファンドの責任者の計4人の「数学の天才たち」を主人公に、米国におけるクオンツの発展過程を歴史的に追ったものだ。

クオンツの元祖は、ブラックジャックで確率的に勝つ方法を編み出し、実践して大金を稼いだエド・ソープ元MIT教授であることも描かれる。その後クオンツの運用手法は大成功し、同様の手法のヘッジファンドが乱立することになった。

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