レクサスはなぜクーペ「RC」を出したのか いまどき2ドアの新型高級車が果たす役割

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それなのにドイツの高級トリオは、そしてレクサスは、なぜわざわざクーペを作るのか。これはブランドの威厳とか価値とかを保つ上で欠かせないものだからなんですね。

たとえば衣料に親子間や家族間の共有というのはめったにあり得ないわけですが、クルマは大概の場合、家族や組織というグループで共有されます。それを服装的な観点に当てはめると、自分のクルマを持つことがひとつのステータスとなることに疑いはありません。ましてや、わざわざ2ドアのクルマに乗るということはこの上ないぜいたくともみてとれます。

つまり、そういうラグジュアリーを提供できるというスタンスが、ブランドイメージの維持向上にとって不可欠であると。極端な話、それがバコバコに売れなくても他の売れ筋のために看板の価値を高めてくれれば結果オッケーと。その品揃えがマストである意味とはそういうことです。フランスでは古くから、お金持ちが特別な場所に乗っていく2人乗りの馬車をクーペと呼んでいたそうですから、語源はその辺りであろうと思われます。

「税務署も一目置く」ぜいたく

それゆえ、クーペというクルマは税法上の分類がかなりシビアです。普通の個人事業主であれば、2ドアクーペを経費で落とすことにいい顔はされません。裏返せばそれは、「税務署も一目置く」ぜいたくでもあるわけですから、おのずと販売台数はしれてきます。ちなみにRCの国内月販目標台数は80台。片やアクアを月2万台売るトヨタの尺度でみれば誤差にも等しい数です。

・・・と、ここまで書けばどうでしょう。レクサスがなぜRCを販売するのかという、ロジカルにはほどけない理由がむしろ鮮明にみえてくるのではないでしょうか。普通より余計にお金をもらう代わりに、心地よさのような無形の価値で対価を上回ることがプレミアムと呼ばれるブランドのキモだとすれば、RCのように一目瞭然の優美さは、その象徴として絶対なければならないものなのです。

とはいえ、姿かたちや看板の名声でうかつに財布を開いてくれるほど、レクサスというブランドは日本市場でも深く浸透していません。ということはライバルを、具体的にはドイツ3強を上回る何かが必要です。

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