クボタ決算、期待とガッカリが交錯 カリスマ社長急逝後の決算は保守的見通しに
もともと期初から国内不振や中国の補助金打ち切りなども折り込み済みで、4~9月期は営業利益950億円、純利益620億円の会社計画だった。つまり減益とはいえ、いずれも計画を上回って着地したわけだ。しかも中国の補助金支給は15年1月から再開が決まっており、タイも混乱が沈静化するなど、業績の足を引っ張っていた問題の解消は見えてきた。為替も、会社計画で1ドル105円、1ユーロ137円を想定しているが、足元で急速に進む円安がさらに利益を底上げする可能性も高い。
上期が踏ん張り、下期のリスク回避となったら、売上高1兆5500億円(前期比2.7%増)、営業利益2000億円(同1.2%減)、純利益1300億円(同1.3%減)の通期増収減益予想を上方修正して増収増益、前期に引き続く最高益更新へと一転させるのでは、とも期待が高まった。だが上方修正はなく、一時的に関係者を落胆させた。
国内の不振はまだ続く
クボタが慎重なのは、国内の不振がまだ続く模様だからだ。もっとも売上高の海外比率は6割超となっており、海外の好調が国内をカバーした上期のように、アジアの回復が加わって、さらに進展することも十分予想できる。11月11日に東京で開いたアナリスト説明会で木股社長は「第3四半期で修正が出来れば」と今後の上方修正への期待に含みを持たせた。
今期最高益更新だけでなく、来期以降の業績にも期待は集まっている。その原動力がフランスの新工場で作る畑作用の大型トラクターだ。中小型トラクターに絞って世界展開してきたクボタが、130~170馬力の大型トラクターで、来春から欧米市場に切り込む先兵役を現地で生産。2018年に売上高2兆円達成目標の牽引役になる。
もっとも大型トラクターの欧米販売、売上高2兆円いずれも、益本前会長兼社長が進めた世界戦略の路線であり、木股社長は就任以来、踏襲と継承を内外関係者に約束している。
一方で、事業本部制を廃止して全事業を社長直轄としていた直接統治の益本体制から、複数の経営幹部による共同統治へ変えていく事も説明会で打ち出した。業績続伸への社内外の期待に応えながら、卓越した前トップとは異なる経営スタイルへ移行する、木股社長によるクボタの新たな舵取りが名実ともに始まった。
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