見えてきた枯渇の時期 v6移行へ円滑な仕組みを

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 残された方法としては、初期に固定アドレスとして配布されたいわゆる「歴史的アドレス」から使用されていないものを返納してもらう、大量に割り当て残を保有しているISP業者から買い取る、などの方法も検討された。だが、歴史的アドレスについては、すでに長年放置されて回収のメドが立たない。また、業者にとっては保有すること自体が現時点では競争優位になるうえ、実際に枯渇する段階になって高値になれば……という期待も働き、表に出てきにくい。「電力や水道と同じで公共性の高いものだけに、投機対象にされるリスクは避けなければならない」と、こういった動きを牽制する見方もあり、なかなか厄介な問題をはらんでいる。

だが、実は解決法はすでに準備されている。IPv6がそれだ。98年ごろから一部供用が開始されてはいるが、実際にはあまり浸透していない。IPアドレスの枯渇が死活問題となるISPがv6への移行に熱心になるのは当然だが、一般ユーザーにはなかなか危機感が伝わらないのが現状だ。

IPv6は、v4が2の32乗個に対し、2の128乗(340兆×1兆の2乗)個という途方もない数のアドレスを提供でき、現時点ではほぼ無限と考えられている。このため、電話番号と同様にグローバルアドレスを直接、固定アドレスとして割り振ることができ、サーバーを通さずユーザー間の直接通信も可能になる。

パソコンだけではない。この冬にも商用サービスが開始になる次世代携帯通信網LTEは、v6が前提とみられているし、スマートグリッドをはじめとする家電の情報化・ネットワーク化にもv6は欠かせない。単に受電・発電・送電の量を管理するだけではなく、使用電力のコントロールも、各種センサーとのネットワーク化によって可能になる。ネットワーク化するためには、センサー一つひとつにIPアドレスが割り振られるが、v6であれば、枯渇の心配はないわけだ。

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