日銀、追加緩和に潜んだ財政再建阻む怖い副作用

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 今回、白川方明日銀総裁が掲げた三つの柱のうち「実質ゼロ金利政策の明確化」は実態の追認にすぎない。残る二つが追加策だ。一つが「中長期的な物価安定の理解」(2%以下のプラスの領域にあり、1%程度が中心)に基づく時間軸の明確化。もう一つが「資産買い入れのための基金の創設」で、1年後をメドに総額5兆円としている。リスク資産の購入によりリスクプレミアムをさらに引き下げることと、長期国債の購入増により長めの金利の低下を促すことを目的にしている。

前者について事実上の「インフレ目標」の導入だとの見方があるが、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストはこれを否定、白川総裁が「物価の安定が事後的に確認できるまで」とは言わずに「展望できる情勢になったと判断するまで」と言っている点を指摘する。

バークレイズ・キャピタルの森田京平チーフエコノミストは「物価を押し上げることは困難で、それよりも前に資産バブルが起きる」と見る。実際その兆候は早々に出ているわけだ。日銀はバブルの恐怖を最もよく知る中央銀行だ。白川総裁は「金融面での不均衡が蓄積するリスクを点検する」「副作用を見極める」という。つまり、バブル発生の懸念が高まれば、緩和策は停止される。

財政再建の足かせにも

一方、大きな懸念材料がある。「基金」における長期国債の購入が「銀行券ルール」(長期国債の保有残高を日銀券の発行残高以下にとどめるルール)の“別枠”とされた点だ。日銀の政策決定会合では、須田美矢子審議委員一人が、債券バブルをあおる恐れと、財政ファイナンスと見なされる懸念の2点から、反対した。

日銀は政府に財政再建を要請し続けているが、みずほ証券の上野氏は「ポピュリズム的な政治状況のなか、これを機に、むしろ政府から国債購入規模拡大の要請が強まる恐れがある。日銀はパンドラの箱を開けた」と危惧する。超低金利での国債消化体制が強化されれば、財政再建が遅れる懸念がある。銀行や生保などの機関投資家に債券バブルへの健全な警戒姿勢を期待するしかない。

(大崎明子 =週刊東洋経済2010年10月16日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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