「新幹線」をあきらめきれない面々 奥羽、羽越、山陰、中四国、東九州・・・

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北陸新幹線は整備計画に沿って建設

新幹線を知るうえで重要な法律がある。「全国新幹線鉄道整備法」(全幹法)だ。1964年に開通した東海道新幹線は、東京―新大坂間を3時間強で結び、同区間が日帰り圏になったことでビジネスや旅行の概念を大きく変えた。

この東海道新幹線の成功を機に、全国へ新幹線網を広げる機運が高まる。それを受けて1970年に、新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図ることを目的に制定された法律が全幹法。条文には「新幹線路線は全国の中核都市を有機的かつ効率的に連結するもの」と明記されている。

たった1年の違い

1971年、鉄道建設審議会で、「東京・盛岡間(東北新幹線)、東京・新潟間(上越新幹線)、東京・成田空港間(成田新幹線=計画中止)について基本計画を制定すべき」との答申が出る。同時に、「盛岡―青森間(東北新幹線の延伸)、青森―札幌間(北海道新幹線)、東京―富山―大阪間(北陸新幹線)。福岡―鹿児島間(九州新幹線)についても基本計画に組み入れるべき」との意見が出た。そして1973年までには、九州新幹線に福岡―長崎ルートを加えた5新幹線が「整備計画」として決定する。

この年には、さらに基本計画路線が追加される。以下の12路線だ。

  1. 札幌―旭川間(北海道新幹線延伸)
  2. 長万部―札幌間(北海道新幹線南ルート)
  3. 富山―青森間(羽越新幹線)
  4. 福島―秋田間(奥羽新幹線)
  5. 東京―大阪間(中央新幹線)
  6. 敦賀―名古屋間(北陸・中京新幹線)
  7. 大阪―下関間(山陰新幹線)
  8. 岡山―松江間(中国横断新幹線)
  9. 大阪―大分間(四国新幹線)
  10. 岡山―高知間(四国横断新幹線)
  11. 福岡―鹿児島間(東九州新幹線)
  12. 大分―熊本間(九州横断新幹線)

法的には、計画路線としてすべて生き続けているものの、「基本計画線」と「整備計画線」は大きく違う。基本計画として定められた路線は、国土交通相が建設に関する調査指示を行うことができる。その調査を基に「整備計画」が策定される。全幹法では整備計画の決定後、国交相による建設指示が義務づけられている。そして指名された建設主体が工事実施計画を作成する。

整備計画がまとまると建設へと一気に動き出す。現在、完成・工事中の区間は41年前に決定した整備計画の区間だ。現在、整備計画区間で未着工の北陸新幹線の敦賀―大阪間、九州新幹線の博多―武雄温泉間も、計画を中止しない限りは、いずれ新幹線を整備する必要がある。

基本計画線はあくまでも構想の段階で、これを整備計画の策定→着工までもっていくには多くの手続きがありハードルは高い。整備計画路線と基本計画路線、優先度の差はあったかもしれないが、たった1年の違いが結果的には大きな差となっている。

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