武富士“突然死”の不可解、過払返還金は大幅カットに


 過払利息返還請求が減少せず、武富士の経営を圧迫していたことは事実だ。8月末時点で、利息返還の未払い額は1713億円まで積み上がっていた。ある弁護士は「武富士は来年まで支払いを待ってほしいと言った」という。来年になれば武富士に支払い余力はあったのか。これも不透明と言わざるをえない。

経営陣の責任はあいまい

今回、東京地裁が採用した会社更生法は、現経営陣の一部が残留する「DIP型」に準ずる方式だ。その理由について保全管財人の小畑英一弁護士は、「膨大な過払請求がある中、更生法の申し立て前の準備と申し立て後の対応、体制に連続性を確保しないといけないため」と説明した。

だが、経営責任を問題視する声は少なくない。潜在的な過払利息返還請求者は「100万~200万人で、1兆~2兆円と予想される」(小畑弁護士)が、更生手続の結果、返還金の大幅カットが余儀なくされる。社債の保有者もデフォルトによる損失を被ることになり、株も100%減資によって紙くずとなる。新経営陣は、債権者の理解を得られるのだろうか。

数々の疑問点は残るが、消費者金融、信販・クレジットカード業界にとっては、首をかしげる余裕さえもなさそうだ。今回の破綻劇によって、今後の過払利息返還請求が増大する懸念がさらに強まったからだ。

「経営破綻した武富士は『これしか支払えません』で済むが、存続しているわれわれは全額返還しなければならない」。業界内では、異口同音にこんな言葉が交わされている。確かに「生きている者こそ苦しい」のならば、武富士は今、極楽にあるのかもしれない。

(浪川 攻 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2010年10月9日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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