本の読み方ひとつで、子どもは変わる! 菅谷明子さんに聞く「読み方」「学び方」

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またある時は、車いすのスペックが示されたイラスト入りの宿題プリントもありました。課題は、その大きさの車いすに乗った人が自分の家に来ることになったら、きちんと家までたどり着けるか、家の中に入って移動できるか、などを各自に調べさせるものでした。娘と巻き尺を片手にやってみましたが、わが家は道から階段を上がらなければ車いすでの移動は難しく、ドアの幅もぎりぎりであることがわかり、あれこれ測ってみながら考えさせられることが多かったです。

このテーマの最後には、ある女の子が自主的に「アメリカでは自閉症児が多いけど、自分たちで何ができるか考えてみよう」という問題提起をし、その結果「研究が重要だ」という結論になりました。

先生に許可をもらってクラスの子どもたちと親たちがボランティアでクッキーを焼いてきて、それをランチの後に全校生徒に販売することで資金を集め、自閉症の研究機関に400ドルを寄付しました。

また、この単元が終わった夏休み前、うちの娘が「夏休みになると学校のランチがないので、昼食を食べられない子どもが5人に1人いる」ことをニュースで知り、学校のビジネスという授業で集めたおカネをランチ提供を支援するNPOに寄付することをクラスで提案し、さらに、アイデアに感銘を受けた校長先生が、金額を2倍にしてくれて寄付したこともありました。

このように、授業は読書をきっかけに考えさせ、社会貢献意識を育み、行動に移すことを目指して設計されているのです。「困っている人がいる」と知るのはもちろん大切ですが、それを超えて、人々が暮らしやすくするにはどうすればよいかを考えさせる授業なのです。

日本でもこうした学びの重要性は認識されていると思いますが、一朝一夕に変わるのは難しいので、こうしたことをまずは家庭でできる範囲でやっていくことが大事だと思います。

※後編記事に続く


 

木村 麻紀 ジャーナリスト

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きむら まき / Kimura Maki

ジャーナリスト、グローバルママネットワーク・コアメンバー、6歳男の子の母親。

環境と健康を重視したライフスタイルを指すLOHAS(ロハス)について、ジャーナリストとしては初めて日本の媒体で本格的に取り上げて以来、地球環境の持続可能性を重視したビジネスやライフスタイルを分野横断的に取材し続けている。

時事通信社記者、米コロンビア大学経営大学院客員研究員、環境ビジネス情報誌『オルタナ』副編集長、パルシステム生活協同組合連合会月刊誌『POCO21』編集長などを経て、現在は一般社団法人グリーンエデュケーションで環境教育ファシリテーターとしても活動中。目下の関心事は「(どんな環境でも生きて行ける)人育て」。

著書に 『ロハス・ワールドリポート―人と環境を大切にする生き方-』(ソトコト新書、木楽舎)、『ドイツビールおいしさの原点 −バイエルンに学ぶ地産地消 −』(学芸出版社)。編著に『社会的責任学入門〜環境危機時代に適応する7つの教養〜』(東北大学出版会)など。

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