「日本を過小評価する」日本人に伝えたい国際評価 元駐米大使と国際記者が語る「世界情勢の見方」

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日本人が地政学と向き合う意味を語る杉山晋輔氏(写真左)と田中孝幸氏(写真:田中孝幸)
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ロシアの軍事演習でエスカレートするウクライナ危機は日々、世界各地の株式市場の大きな波乱要因になっている。北朝鮮による相次ぐミサイル発射や、中国の尖閣諸島周辺での領海侵犯などを受け、日本でも地政学リスクへの関心はこれまでになく高まっている。
ウクライナのクリミア半島の危機を現地で取材するなど大手メディアで長年国際報道に携わり、2月25日に『13歳からの地政学 カイゾクとの地球儀航海』を上梓した田中孝幸氏と、外務事務次官や駐米大使として30年以上、世界各地の地政学リスクと向き合ってきた杉山晋輔氏が、日本人が地政学と向き合う意味などについて語り合った。

海洋国家・日本の世界戦略

田中:地政学はバズワード(はやり言葉)になっていますが、その意味を巡ってはさまざまな定義がある言葉でもあります。

『13歳からの地政学 カイゾクとの地球儀航海』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

ただ、地政学を考えるということは、地球儀全体をみて、それぞれの場所の風土やそこに住む人の立場や考え、歴史に思いをはせることであると言えると思います。人間はホモサピエンスとして同じであるはずなのに、行動様式や考え方は国の場所や歴史によって大きく変わってくる。地政学をしっかり考えることは、国家間の相互理解の向上につながることでもあると確信しています。

杉山:私が外交官生活の中で常々思っていたのは、国際関係や外交交渉を考えるときに、ある地域やある2国間関係のことだけをみるのでは不十分だということです。グローバルに鳥瞰的な視点を持たなければ、2国間関係も十分に理解できなくなる。地政学的なものの見方はその意味でも重要になります。

例えば中国が東シナ海や南シナ海でやっていることと、ウクライナ周辺でいま起こっていることは、現象面では違う場所で起こっている別々のことにみえるが、無関係かというとまったくそんなことはない。いずれもアメリカが関与している話であるし、それぞれ独立した動きではなく、国際社会の全体像の中のピースとして連関しているわけです。

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