HP前CEO、マーク・ハードのオラクル移籍騒動、波乱はむしろこれから?

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ヒューレット・パッカード(HP)最高経営責任者(CEO)の職を、約2年間にわたって関係があった請負業者からセクハラで訴えられたマーク・ハード。状況の調査中、約170万円の虚偽の経理請求が発覚したため、HP取締役会は、全員一致でハードの辞任勧告を決定。株を含めて約30億円以上の退職金の代わりにハードを解任した。

その後、ハードの業績を高く評価するテニス仲間のラリー・エリソン・オラクルCEOに誘われ、HPとはライバル企業のオラクル共同社長に就任した。すると、今度はHPから「企業秘密を開示することなく、オラクルでの職務はできないはず」と、ハードは訴えられてしまった。

結局、ハードは退職に際して受け取ったHP株の権利を放棄し、機密は明かさないとHPに明言することで、HPと和解。ジェットコースターのような一連の騒動だったが、ようやくハードの周囲は落ち着いてきた。

ハードが在籍していたHPは、辞任からオラクル引き抜き騒ぎで、一時は株価が14%も下落。一方、ライバル会社のオラクルは、ハードの入社前、すでにソフトのライセンス販売とサン・マイクロシステムズ買収で手に入れたハードウエアの販売で、第1四半期に48%も収入を伸ばしていた。IT業界の競争は激化する一方。幅広い製品のラインナップとサポート体制で顧客をつなぎ留め、巨大化路線で成長を図るのがオラクルの戦略。

エリソンCEOは「オラクルはさらにハードウエア企業を買収」し、米IBMをしのぐ企業になることを目指している。

ハードの覇権時代、HPはスリーコム、EDS、パームを買収し、世界最大のパソコン企業となった。その手腕をエリソンが買ったわけだが、ハードのHPでの経営実態はどうだったのか。これから、ハードはオラクルでどのような活躍をしていくのだろうか。HPとオラクル関係者、そして外部の投資家たちはハード在籍と移籍に関してどう思っているのか、彼らの声を拾ってみた。

「マークが入社してから最初の3年間は良かった。成果を出すべくHPに社内規律をもたらし、カーリー・フィオリーナのビジョンを実行していった。彼の強みはファイナンスだ。自らがいつも働くだけでなく、チームを絶えず働かせた。財政目標の達成では良かったが、新たなビジョンがまったくなかった。人員削減と福利厚生を減らし、資産売却で現金を生み出している。しかし、こうしたことは企業運営には何の関係もない。人員削減を続けないことには利益を増やし続けられない。最近3年間の収益が伸びていないんだ。2008年を例に取れば、HP本体は1180億ドルを売り上げ、EDS(年間売上高220億ドル)を買収した。つまり、合計で1400億ドルになるはずだけれど、09年の売り上げを見ると1145億ドル。200億ドル以上が消えている」と匿名希望のHP関係者。

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