「EV充電器」マンション導入への高すぎるハードル 難しい合意形成、EV普及の壁になる可能性も

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ユアスタンドの浦社長は、「マンション暮らしのEV所有者にとって、どこで充電するかは非常に悩ましい問題。自宅のマンションで基礎充電ができさえすれば、わざわざ出先で充電ステーションを探さずにすむ」と語る。

時期尚早で見送られるケース

「充電器導入の提案から1年以上動いてきて、ようやくメドがつきそうだ」。そう話すのは、PHV(プラグインハイブリッド車)を所有する都内マンションの理事会メンバーの男性だ。

2020年8月、男性は「充電器の設置検討のお願い」を理事会に提出し、マンションの駐車場の区画に充電器を設置することを提案した。今年3月に開催される管理組合の総会で正式に承認されれば、年内に2区画分の充電器を設置し、運用が開始される予定だという。

ただ、こうしたマンションはまだ少数だ。ユアスタンドの浦社長によると、「最近になってマンションの管理組合からの問い合わせが大幅に増えたが、実際に導入に向けて話が進む案件はまだ限られる」と話す。

一番多いのは、管理組合で検討課題に上った後、住民たちの話し合いで「(まだEV所有者がほとんどいないので)時期尚早」と見送られるケースだという。

EVユーザーは自宅マンションでの充電できる環境を切実に求める一方、EVを持たない住民からの理解を得ることはなかなか難しい。経産省の2017年度の調査では、国内のEV所有者のうち9割は戸建て住民で、集合住宅に住む所有者はわずか1割にすぎなかった。

マンション住民の充電問題は、EV普及の大きな壁になる可能性もありそうだ。

井上 沙耶 東洋経済 記者

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いのうえ さや / Saya Inoue

自動車業界を担当後、現在は専門店やアパレルなど小売業界を担当。大学時代は写真部に所属。趣味は漫画を読むこと、映画のサントラを聴くこと。

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