維新と立憲「ヒトラー発言」で不毛な泥仕合の末路 野党間対立で漁夫の利を得るのは岸田政権

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当然、維新側は猛反発し、同党代表の松井一郎大阪市長はすぐさま自身のツイッターで、「民間人と我々をヒットラー呼ばわりとは、誹謗中傷を超えて侮辱です」と強く抗議した。

これを受けて維新は1月26日、立憲執行部に対し撤回と謝罪を求める抗議文を提出。しかし、立憲の泉健太代表は、「(ヒトラーに例えた)揶揄、批判、警鐘を鳴らすのは枚挙にいとまがない。一律に駄目とはならない」と反論。「菅氏の個人的発言」と党としての対応を拒否した。

また菅氏も「ツイッターは党の指示ではなく私の一存で発した。私の感想を述べたもの。維新からは私には直接何も言ってきていない。私のツイッターに抗議するなら私にするべき。いずれにしても的外れな謝罪要求に応ずるつもりはない」と改めて投稿。

これに対し松井氏は1月27日、大阪市長の定例会見で記者団に対し「菅さんは公党の最高顧問であり、日本の総理経験者。その人が弁舌巧みとはいう理屈であろうと、人をヒットラーに見立てるというのをやっていいのか。国際社会で通用するのか」と噛みついた。

しかし、立憲執行部も菅氏も謝罪などは一切拒否。業を煮やした維新側は2月1日昼、馬場伸幸共同代表がメディアを引き連れて、衆院議員会館で隣の菅氏の事務所に突入し、メディア公開の形で約20分間、激しいやり取りを展開した。

馬場氏の直接抗議も菅氏は拒否

中継機器も抱えたメディアを引き連れて乗り込んできた馬場氏に対し、菅氏はまず「橋下氏は現在、維新とどういう関係にある人物か」と先制攻撃。馬場氏が「今はまったく関係ない」と答えると「なぜ、まったく関係がない橋下氏の問題に維新が抗議するのか」と抗議は受け付けない考えを明確にした。

これに対し、馬場氏は「非道の限りを尽くした独裁者になぞらえた侮蔑発言は断じて見過ごせない」などと謝罪と撤回を求める抗議文を手渡したが、菅氏は強い口調で「お帰りください」を連呼し馬場氏を追い出した。

この状況は「政党の最高幹部同士のやり取りとは思えない子どもじみたケンカ」(閣僚経験者)だが、両党の抜き差しならない対立を浮き彫りにする一幕でもあった。

たしかに、誰もが知る維新創業者の橋下氏について、馬場氏がことさら「今は党とは無関係の民間人」と力説したことには、立憲だけでなくほかの政党幹部の多くが「橋下氏が依然、維新への影響力をもっていると、ほとんどの国民が考えている」と指摘。自民党は「無関係と言えば言うほど、維新の二重構造を露呈するだけ」(幹部)と皮肉った。

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