「コーヒー戦争」、今度は駅ナカが戦場に 日本コカがJR東海、ドトールはJR東と提携

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缶コーヒー市場の横ばいが続く中、台頭してきたのがコンビニコーヒーだ。13年に参入したセブン‐イレブンは、淹れたてで100円の「セブンカフェ」が支持され、1日平均120杯を売り上げる成功を収めた。缶コーヒー「BOSS」を擁するサントリー食品インターナショナルでは、「コンビニコーヒーの登場で、コンビニにおける缶コーヒーの売り上げは、市場全体でマイナス5%程度影響したと見ている」と、13年度の決算会見時に打ち明けた。

こうした劣勢の状況下、日本コカは、コンビニコーヒーに参入する準備を整えていた。手を組んだ東海キヨスクは、コンビニコーヒー導入の理由について、「サービス向上と売り上げ拡大を図りたいキヨスクと、淹れたてコーヒー事業への本格参入を決めた日本コカ・コーラさんの思惑が一致した」と説明する。ベルマート2店舗では「導入当初より予想を上回る売り上げ」(同)を記録しているという。今後の利用状況を見て、新幹線の停車駅を中心に導入を進める方針だ。

価格はホット、アイスともに100円

JR東海だけではない。駅ナカでのコンビニコーヒーは、JR東日本エリアでもすでに始まっている。駅ナカコンビニ「NEWDAYS」を運営するJR東日本の子会社・JR東日本リテールネットは10月、コンビニコーヒー「EKI na CAFE」の本格展開を開始した。価格はホット、アイスともに100円だ。

商品開発はコーヒー店の「ドトールコーヒー」と共同で実施。ほかにドトールは、原料やコーヒーマシンの供給、販促方法などノウハウの伝授を行っている。EKI na CAFEは約500あるNEWDAYS店舗のうち、現在40店舗で導入されており、2015年3月末までに70店舗に拡大させたい考えだ。JR東日本リテールネットは導入に関し、「駅ナカはお急ぎのお客様が多い。スピードと味、香りを両立させるために、独自ノウハウを持つドトールコーヒーと共同で開発した」としている。注力中のオリジナルスイーツとの買い合わせも狙う。

一方、ドトールにとっては、自らの店舗とは別に、自社の技術で淹れたコーヒーが、好立地の駅ナカで安く販売されてしまうことになる。カニバリ(食い合い)が心配されるが、「220円のイートイン(自社店舗)と、100円のテイクアウト(駅ナカ)とでは、利用動機が異なる。バッティングする懸念はない」(ドトール・日レスホールディングス)と捉えている。安さとおいしさで昨年以来、人気が続くコンビニコーヒー。駅ナカという新たな舞台を機に、コーヒー戦争はますます熾烈なものになりそうだ。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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