イタリア鉄道、「パリ直通」に込めた仏進出の野望 飛行機や他社との勝負ではない「本当の狙い」

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トリノを過ぎたころ、ようやく空が白み始め、両側に迫る山の稜線がはっきり見えるようになってきた。列車はフランス国境へ向けて峠道を進み、思うようにスピードは出ない。車内の電光掲示板は時速120km程度の速度を指し示す。やがて列車はフレジュストンネルを抜け、フランスへと入国。国境を越えたモダーヌで列車は17分の小休止だ。

リヨン―パリ間は満席に

フランス国内へ入ると列車の速度はいよいよ遅くなり、速度表示はなかなか時速100km以上へ上がらない。この速度では所要時間が長いのも納得できる。山に渓谷に湖にと、車窓風景は非常に美しいが、移動手段と考えた場合、この貧弱なインフラは大きなハンデだ。

シャンベリーで少し乗客が増え、車内がにぎやかになった。時間も9時50分となり、人々が活動する時間になったこともあるだろうが、意外にもフランス国内における、この新しい列車へ対する関心の高さをうかがわせた。

当初は半信半疑だったものの、それは次の停車駅リヨンで確信へと変わった。ホームには大勢の乗客が列車を待っていて、イタリア国内では閑散としていた車内がうそのように、全ての座席が埋まる満席となった。やはり乗車券の完売は間違いではなかったようだ。

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