小さな1歩、JR東海「リニア情報発信拠点」の試み 相模原市内のマンション活用、地域密着で展開

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「相模原市内におけるシールド工事の安全・安心の取り組みなどに対する沿線のみなさまのご理解を深めていただく」(吉川課長)ことがブース設置の狙いだ。ブースの場所が駅から離れており遠方からは訪問しづらいが、地下で工事が行われるルート周辺の住民を対象にした施設と考えれば、この場所にある理由も納得がいく。

ブース内にはリニアの模型展示などもあるが、主体は相模原市内のルートや工事に関する説明だ(記者撮影)

今後、トンネル工事の実施前に工事説明会が開催されることになる。ただ、これまで各地で行われてきた説明会では、「質問しても通り一遍の回答しか返ってこなかった」といった厳しい声も出席者から聞かれた。JR東海と出席者との間で十分なコミュニケーションが取れていたとは言い難い面があった。

2020年10月にはシールドマシンを使った東京外環道の地下トンネル掘削工事により東京都調布市の住宅街で陥没事故が起きた。調布の事故とは地盤などの状況が異なるとはいえ、相模原市内の工事でも同様の事故が起きないか不安に感じる住民も少なくない。工事に伴う振動や騒音を心配する住民もいる。「安心できるようなわかりやすい情報発信をしてほしい」という意見が住民の間から上がっていた。こうした声が今回のブース設置につながった。

JR東海の社員も常駐

ブースでは工事に関する不安を払拭するための取り組みをパネルで説明するほか、工事や用地交渉の担当者などJR東海の社員が2〜3人常駐して、来場者の質問に答える。ブースの一角には相談コーナーも設置されている。この場で十分な対話が行われれば、説明会で指摘されたようなコミュニケーション不足はある程度解消できそうだ。

さがみはらリニアブース内を視察する相模原市の本村賢太郎市長(記者撮影)

報道陣向け内覧会には、相模原市の本村賢太郎市長も姿を見せた。本村市長もブースの設置をJR東海に要望した1人であるだけに、JR東海の説明にじっと耳を傾け、「工事開始前に家屋調査をやるんですね」など、重要な点については逐一確認していた。視察後の会見では、「とてもよい試み。こういうふうにやっていただけると地元の理解が深まる。市民のみなさんにぜひお越しになって見ていただきたい」と述べた。

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