家族で1台の安心!スズキ「ソリオ」販売1年通信簿 新型はファーストカーという位置づけを明確に

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ソリオのシートアレンジイメージ(写真:スズキ)

では、販売台数はこの1年どうであったか。

発売の翌月となる2021年1月の販売台数は、5446台で12位。競合のルーミーは、1万939台を売って2位だった。フルモデルチェンジしたばかりでも、ソリオ/ソリオバンディットはルーミーの半数におよばない。それでも続けて2月も5000台規模を維持し、年度末となる3月には6000台を超えた。しかし、そこからじりじり台数を落としはじめ、11月末(執筆時)まで、2500~4000台の間で上下を繰り返しながら推移してきた。

カローラ初のSUVとして2021年9月に投入されたカローラクロス(写真:トヨタ自動車)

対するルーミーは、1~8月まで「ヤリス」に次いで2位の健闘振りで、9月に13位へ突然落ち、10月は4位、11月は3位と盛り返している。順位を下げた背景に、モデルチェンジした「アクア」や、カローラ初のSUV(スポーツ多目的車)である「カローラクロス」の登場など、トヨタで魅力的な新車が投入された影響もあるだろう。ルーミーは、2016年の登場から5年を経てモデルチェンジをまだしていない。トヨタでの兄弟車であるトールがルーミーに統合されたとはいえ、新鮮味はもはやないルーミーの底力は恐るべきものがある。

それに対し、ソリオはどう評価されるべきか。

販売店の数を考えればスズキの奮闘がわかる

いつもの指標だが、トヨタの販売店は5000店ほどといわれている。これに対してスズキは約1100店舗だ。ほぼ1/5の戦力での販売実績であることを思えば、もっとも販売台数を稼いだ3月の6000台超のとき、ルーミーが1万6000台超売っていたといっても、1店舗あたりの販売台数はソリオが5.4台で、ルーミーが3.2台と試算できるので、スズキ営業の獅子奮迅の活躍ぶりと、モデルチェンジ後のソリオ/ソリオバンディットの商品性の高さが見えてくるのではないか。

ルーミーの兄弟車にあたるダイハツのトールは、毎月1500台前後の推移であり、ときに1000台を割る月も何度かあった。同じ車種を10倍近く売るトヨタの販売力に驚く一方で、フルモデルチェンジに際し、再検討されたソリオの商品性は、ルーミーやトールを上回る魅力をもっているとみていいだろう。

小さなクルマに主力を置くスズキやダイハツは、地元の自動車整備工場などが販売権を持ち新車販売も行うことで、全体の販売台数を支えている。スズキの場合、通常のディーラーと合わせた販売拠点数は、4万5000店に及ぶという。

新車販売の体制や規模はそれぞれだが、そのなかでソリオは顧客満足を重視したモデルチェンジによって、消費者から適正に評価された販売成績を残しているといえるのではないか。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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