他人に一室を貸す「家シェア」選んだ夫婦の超発想 ワンオペ親子を救った「セーフティネット」とは

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西家のリビングに飾られている写真。家族だけじゃなく、シェアメイトにお子さんがだっこされている写真があるのが印象的(写真提供:西さん)

育児とルームシェアといえば、留学生に無料で部屋を提供する代わりに家事育児手伝いをしてもらう「オーペア」というやり方もあります。日本ではまだメジャーではありませんが、ルームシェアで育児を楽にしている人は国内外にたくさんいるのです。

とはいえ、「やり方うんぬんの前に、シェア生活なんて特殊な人にしかできないよ!参考にならない!」と思った人もいるかもしれません。確かに、人と生活をシェアできるかどうか、それでつかれが減るか増えるかは、かなり個人差があるでしょう。

ただ、美樹さんの話で興味深いなと思ったのは、同じ声がけでも、シェアメイトが言うか夫が言うかで全く感じ方が変わったという体験談。

たとえば「大丈夫?」「(赤ちゃんが)また泣いてるの?」という言葉が、シェアメイトに声をかけられると、気遣いとして嬉しく感じられたり場がなごんだりするのに、夫からだと「じゃあなんとかしてよ!」と怒りに変わってしまう。

他人だからこそ息抜きになる、ケンカにならない、その違いは大きいそうで、それはとても理解ができる気がしたのです。育児には、第三者だからこそできることが、確かにあるのです。

今回のつかれないヒント

そして実は、このご夫婦を知るきっかけになったzine(近年人気の手作り小冊子)は、現役女子大生が作ったもの。彼女はドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の産後の話を見て、「結婚生活って大変そう、私にはムリかも……」と不安を憶えたけど、この夫婦のシェア生活には、「こういうカタチならいけるかも」と希望を持ったそうです。

私からすると「逃げ恥の夫婦(夫婦で協力し育児をしている)でも不安を感じるの!?」と思ったのですが、彼女いわく「育児はまだリアリティを持って想像できないけど、夫婦ふたりだけの生活はコミュニケーション的にきつそう。第三者がいたほうが精神的に楽そう」とのこと。

『ほしいのは「つかれない家族」 ワンオペ家事&育児に絶望した私が見つけた家族のシアワセ』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

そんな話を聞き、シェアライフは、全ての人の解決策にはならなくても、参考になる人も確実にいるんだとあらためて思ったのです。

実際に、私もワンオペ時代にシェアハウスを検索したことがありますし、コロナ禍の影響などで「シェア」を求める人がさらに増えているのも感じています。現代社会で、他人とのシェアが「特殊の人のもの」だけではなくなりつつあると思ったのも、この夫婦を取材しようと思ったきっかけのひとつです。

そして実際、この夫婦にとってのシェア生活は、ワンオペ時代の親子を精神的に救うセーフティネットになったのです。

というわけで、今回のつかれないヒントは……

ワンオペ生活の精神的ストレスにつかれた

セーフィティネットのないワンオペ生活がつかれるのは当然。
ルームシェアはハードルが高くても、
せめて緊急時に連絡とれる人、何かの時に愚痴を言える人、
息抜きのできるシェアスペース、オンラインコミュニティなど、
意識的にセーフィティネットを確保しよう。

さて、次回はシェア生活をさらに深掘り。シェアハウスの長所と短所を紹介していきたいと思います。

この連載にはサブ・コミュニティ「バル・ハラユキ」があります。ハラユキさんと夫婦の問題について語り合ってみませんか? 詳細はこちらから。
ハラユキ イラストレーター、コミックエッセイスト

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はらゆき / Harayuki

雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『女子が踊れば!』 (幻冬舎)、『王子と赤ちゃん』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、この連載を書籍化した『ほしいのはつかれない家族』(講談社)など。この連載のオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰し「つかれない家族をつくる方法」を日々探求、発信中。ハラユキさんのHPはこちら

 

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