【産業天気図・住宅・マンション】目先の販売好調もかつての水準には遠く「曇り」止まり、大手収益も巡航速度は来期に
10年10月~11年3月 | 11年4月~9月 |
住宅・マンション業界の景況感は、2011年9月まで1年通じて「曇り」と低調にとどまりそうだ。前09年度に比べると回復感が鮮明ながら、首都圏需要などはかつての水準にはほど遠い。業界大手の業績回復も巡航速度に戻るにはもう1期必要で、本格回復は来12年3月期になりそうだ。
マンション業界は需要の底打ちが鮮明になってきた。不動産経済研究所が発表している首都圏の月間供給戸数は10年1~6月で7年ぶりに前年同期を上回っているほか、好不調の分岐点である契約率も年明けから一貫して70%を越えている。景気の先行きに一定の安心感が出てきたこと、税制・金利などの政策支援の恩恵が要因。さらに、デベロッパーの方も昨年以降、棚卸資産の減損を断行したことから価格調整が柔軟に出来る状況にあり、この面からも購入が促進される要素になっている。
だが注目すべき点は、05年まで8万戸供給が常態化していた首都圏で、09年は14年振りに4万戸割れしていたこと。10年が回復するといっても4・3万戸予想とかつての水準には遠く及ばず、購入希望者が選択出来る物件数には限りがある。
しかも今回の回復の特徴は、政策恩恵を受けるがもっぱら大手デベロッパーに限られていることだ。8万戸供給が続いた当時は、郊外部でのマンション供給も多かった。しかし、その供給を担ってきた中堅以下デベロッパーが、リーマンショック前後からの金融タイト化や売れ行き不振で、多くが倒産に追い込まれ撤退。現在、大手が供給する物件は都心の好立地物件が中心だ。このため、ブーム時代にあったような、マンションの竣工前に行われる青田売り段階での即日完売が続出している。