【産業天気図・精密機器】精密機器業界は「晴れ」。デジタルカメラに続き、事務機などオフィス需要もゆるやかに上向く
10年10月~11年3月 | 11年4月~9月 |
精密機器業界は2011年9月まで、終始「晴れ」が続きそうだ。事務機などのオフィス需要が底を打ち、北米やアジアで各種機器の需要が上向き始めた。デジタルカメラ市場の回復は四半期前の想定を上回るスピードが続いている。一眼レフやミラーレス一眼などレンズ交換式カメラが力強い。
キヤノンやコニカミノルタホールディングス、富士ゼロックス(富士フイルムホールディングスの子会社)、リコーなど事務機を柱とするメーカーによれば、オフィス機器の需要は年初~今春に底を打ち、ゆるやかながらも回復傾向を見せている。復調が早かったアジアに続き、北米でもハード(機器)、ソフト(消耗品・保守サービス)ともに動きが見え始めた。ただ国内は、ハードが徐々に上向く一方、採算のいい保守サービスなどはカラーコピー抑制の継続などを理由に依然低水準だ。
市況の回復スピードが遅いことを受け、各社は従来強みとしてきた地域や顧客以外の層にアプローチを始めた。たとえば、大手企業が主顧客だった富士ゼロックスは、今期、コンパクトサイズの低価格帯新製品を投入。中小企業への拡販に力を入れる。前年比の回復率がやや鈍いリコーは、これまで力を入れてこなかった中国を本格的に開拓する。上海など沿岸部を中心に、直販体制を大幅に強化する方針だ。コニカミノルタも得意とするカラー機に加え、モノクロ機新製品を今期投入するなどして、低価格帯製品のニーズが多い新興国を中心に売り込む。
オフィス需要の戻りと比較すれば、デジタルカメラの回復が際立つ。CIPA(カメラ映像機器工業会)が年初に出した統計では、2010年(暦年)の出荷見通しはレンズ交換式の「デジタル一眼カメラ(ミラーレス一眼やユニット交換式カメラ含む)」で1100万台(前年比11%増)、「コンパクトデジタルカメラ」で9890万台(同3%増)。だが、足元の状況を見るに、一眼を中心にCIPAの見通しは上振れそうだ。