東宝、『アナ雪』だけではない好決算の理由 下期には映画版『妖怪ウォッチ』が控える
東宝の今期は出足から好調だった。3月に公開した『ドラえもん』や4月公開の『名探偵コナン』など、定番のアニメ作品が興行収入30億~40億円と好調だった。さらに、『テルマエ・ロマエⅡ』も40億円を超えるヒットとなった。ただ、それでも会社側は、今期は減益となるとの厳しい見立てだった。
その理由は、夏に高いハードルが控えていたためだ。昨年7月に公開となったスタジオジブリ映画『風立ちぬ』。宮崎駿監督の長編映画引退作品として注目を集め、興行収入120億円を記録した大ヒット作品だ。この高い壁を越えるのが難しいとの判断で、減益予想を継続していた。
『風立ちぬ』の壁をクリア
だが、ふたを開けてみれば、大幅な超過となった。アナ雪以外にも、夏に公開したハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』や、ジブリ作品『思い出のマーニー』などが着実な結果を残したこと、そして8月8日公開の3D映画『STAND BY ME ドラえもん』が想定を上回るヒットとなったからだ。
中でも『STAND BY ME ドラえもん』は、いい意味で期待を大きく裏切った映画だった。「ドラえもんシリーズは毎年春に上映している。年2回やって、どれだけ見てもらえるか」と、社内からは不安の声が聞かれていた。だが、そんな懸念はどこ吹く風、同作はシリーズの中で最大のヒットとなった。
3Dドラえもんは業界内でも評価が高い。「昔に見たドラえもんが帰ってきた」と、40代後半のアニメ制作会社の幹部は興奮気味に話す。「アニメのドラえもんは子供が中心だけれど、STAND BY MEは大人向けで、マーケットが違うのがよかった」(同)とヒットの理由を分析する。
上期に多くのヒット映画を出し、最高益を射程に入れた東宝。下期に入った9月以降も、快進撃は続いている。まず3Dドラえもんが9月以降も順調に興行収入を上げている。公開から9週を超えても週間ランキングのトップ3に入っており、興行収入は80億円に迫っている。
また8月30日に公開された実写版『ルパン三世』も大健闘を見せている。コアなファンが多いアニメ作品の実写版である点や、アニメでおなじみのルパン三世のテーマ曲が使えないなどのハンデもあり、前評判では興行的には厳しいとの声が聞かれていた。だが、すでに興行収入は20億円と、東宝がヒットと判断する水準をクリアしている。
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