東宝、『アナ雪』だけではない好決算の理由 下期には映画版『妖怪ウォッチ』が控える

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ただそれでも、下期業績だけを抜き出して前期と比べてみると、東宝は前期に比べ3割近い減益を予想している。上期の『風立ちぬ』と同様、今度は昨年冬の大ヒット作『永遠の0』(興行収入87億円)の高い壁が立ちはだかるためだ。

「妖怪ウォッチ」など強力布陣が控える

11月29日公開予定の『寄生獣』 (C)映画『寄生獣』製作委員会

ただ、今期の下期作品が『永遠の0』超えが難しい布陣かというと、そうでもない。最も期待されるのが、ブームの真っ只中にある『妖怪ウォッチ』だろう。12月20日公開予定で、お正月映画の筆頭格だ。

特典として玩具のメダルを付けた前売り券50万枚は即日完売。その後の通常の前売り券も順調に伸びており、9月末の時点で66万枚を販売している。単純計算すると、前売り券だけで6億~8億円の興行収入に届く。ブームが続けば、ヒットは間違いなさそうだ。

『寄生獣』(11月29日公開予定)にも期待が集まる。1980年後半から1990年代にかけて連載されたコミックを映画化したもので、『ALWAYS 三丁目の夕日』で日本アカデミー賞を受賞した山崎貴氏を監督に迎えた意欲作だ。

2015年4月には完結編も予定する2本立てだけに、プロモーションにも力が入っている。「原作コミックを知っている30~40代は手堅い。20代など若年層の観客を呼び起こせるかがポイント」(東宝関係者)。10月8日から日本テレビでのアニメ放送も始まっており、人気に火が付く可能性を十分に秘めている。

2作品のほかにも、11月に「週刊少年ジャンプ」で連載が終了する『NARUTO』(12月6日公開)や、妻夫木聡や宮崎あおいなど人気俳優をそろえた『バンクーバーの朝日』(12月20日公開)など話題作は豊富だ。上期に『風立ちぬ』の反動を複数の作品でカバーしたように、下期もヒット作を量産できれば、純利益200億円の大台も十分視野に入りそうだ。

鈴木 良英 東洋経済 記者

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すずき よしひで / Yoshihide Suzuki

『週刊東洋経済』編集部記者

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