海&陸、西九州新幹線「車両輸送」ドキュメント 「めったに見られない」、開業に向け格好のPRに
「玄界灘を航行するのか」。JR九州の子会社であるJR九州高速船の担当者はこの話を聞きつけ、海上輸送の模様を乗客に見せるというアイデアを思いついた。
同社は豪華な内装を売り物とする新型高速船「QUEEN BEETLE(クイーンビートル)」を2020年に導入したが、本来就航するはずだった日韓定期航路は新型コロナの影響で運休中。国内の定期航路に転用したくてもクイーンビートルはパナマ船籍であり、外国船籍船の国内運航を禁じる制度に抵触するためそれもかなわない。現在は、博多港発着を条件に福岡港近海の遊覧クルーズが特例措置として認められているにすぎない。
船も新幹線も「水戸岡デザイン」
もっとも、遊覧運航をしているクイーンビートルにとって、海上輸送のルート上にある玄界灘は自分の庭のようなものだ。しかも、新幹線かもめもクイーンビートルもデザインしたのは水戸岡鋭治氏。水戸岡デザインの船の上から水戸岡デザインの新幹線を眺めるというユニークな趣向でもある。「新幹線の海上輸送を見学するツアーを実施しない手はない」。親会社のJR九州としても、西九州新幹線のPR効果につながるため異論はなかった。
クイーンビートルの旅客定員は502人だが、コロナ禍の現在は船内での密を避けるため定員の半分程度に制限している。さらに、多くの乗客が屋外デッキに出て海上輸送を見学することが予想されることから、甲板での密を避けるため催行人員はおよそ200人に抑えた。約3時間のツアーで料金は大人1人で1万5000円~2万円と決して安くないが、めったに見ることができない貴重な光景を目撃できるということからツアーは完売となった。
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