タイに“世界最大工場” ブリヂストンの大決断

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さらにここにきて、輸出拠点としての魅力も高めている。タイ政府は、低燃費の車を生産すれば法人税や輸出利益に対する課税を減免するエコカー政策を推進。これが吸引力となり、自動車メーカーが続々と工場進出や増産に動いている。タイヤメーカーにとっては新車組み付けタイヤの伸びが見込める。

タイ国内に同社はスチールコード、カーボンブラックといった材料工場を持ち、インドネシアの天然ゴム工場も近い。材料調達から製造まで一貫生産できる独自の強みがある。ノンケーからの輸出比率は現状3割だが、増産に伴い日本含むアジア諸国、欧米などへの輸出に弾みがつくのは間違いない。

ノンケー工場の敷地は東京ドーム14個分と広大だ。増産余地は大きく、生産量で彦根を抜き去る日も遠くないかもしれない。タイと日本、彼此(ひし)の勢いの差を象徴するような話である。

■ブリヂストンの業績予想、会社概要はこちら

(週刊東洋経済2010年9月25日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
高橋 由里 東洋経済 記者

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たかはし ゆり / Yuri Takahashi

早稲田大学政治経済学部卒業後、東洋経済新報社に入社。自動車、航空、医薬品業界などを担当しながら、主に『週刊東洋経済』編集部でさまざまなテーマの特集を作ってきた。2014年~2016年まで『週刊東洋経済』編集長。現在は出版局で書籍の編集を行っている。

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