メルシャンがワイナリーを全面リニューアル、ブランドイメージ回復なるか
キリンホールディングス<2503>傘下で国内ワイン最大手のメルシャンが、企業ブランドと国産ワインの復権に向けた”戦略基地”を始動させた。9月1日に山梨県甲州市でリニューアルオープンしたワイン醸造所(ワイナリー)「シャトー・メルシャン」がそれだ。
「シャトー・メルシャン」は従来「メルシャン勝沼ワイナリー」の名称で運営してきたワイナリーを、初めて全面的に改装した。昨年秋に本格的な改装工事に着手し、今夏に完成を迎えた。
新しいワイナリーは、年産能力を従来比3割増の85万本(720ミリリットル換算)に高めた最新鋭の製造設備を中核とする「ワイナリーエリア」と、ワインの資料館や試飲や購入、食事なども楽しめるギャラリーなどを配した「ワインミュージアムエリア」で構成する。
リニューアル前には点在していた各施設につながりを持たせる配置に組み替えた。「メルシャンの象徴として、また『日本ワイン情報発信基地』としての発展を目指す」とメルシャンの植木宏社長。メルシャンは年間で8万人の来客者数を見込んでいる。オープンから約2週間現在の来客者数は3000人で、連日予約も多数入っているという。
1998年のブーム以後、停滞する国内ワイン市場の活性化とメルシャンのブランドイメージ向上。メルシャンが今回のリニューアルに10億円もの資金を投じた狙いは、そこにある。メルシャンの年間売上高はかつて1100億円を超えたが、2000年以後は1000億円前後で伸び悩み、世界的な景気後退の影響を色濃く受け、09年12月期には832億円まで縮小した。02年12月期には40億円を超えたメルシャンの営業利益も09年12月期には6億円を切る水準まで落ち込んだ。