レアメタル争奪戦の裏側、レアアース狂想曲と中国の対応

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 これまで中国政府は、毎年10%ずつ輸出許可枠を減らしてきたが、2010年は一気に40%も削減した。中国は資源政策として、(1)国内資源を守るため鉱山開発に対する外資参入を規制、(2)内需優先のため輸出増値税還付の撤廃、輸出許可枠の削減、輸出関税の導入、(3)環境問題に対応するため新しい国内鉱山開発の制限--などを打ち出してきた。

今回のレアアース狂想曲の始まりは今年3月ごろ、温家宝首相が商務部の上級幹部を集めてレアアースの資源保護について注意を促したことに端を発する。首相は北京大学地質学院地質構造科出身で資源問題に詳しく、これまでもアフリカの資源を押さえるなど資源政策には積極的だ。

日本の直嶋経済産業大臣や岡田外相が急きょ、8月28日から北京に行き、レアアース問題について政府間協議で解決を図ろうと動いたが、結果は火を見るより明らかだ。

「環境問題で協力するからレアアース資源を出してほしい」などの友好的解決案を単純に提案するだけなら誰にもできる。これでは単に足元を見られるだけで、外交センスを疑われても仕方がない。本気で交渉する気なら何らかの対抗策を用意しなければ話にならない。米国は自国のレアアース資源(マウンテンパス鉱山)の再稼働を決定しながらも、WTOへの提訴をほのめかしながら中国に圧力をかけている。欧米筋は中国の少数民族問題や環境問題で圧力をかける外交手法をとっている。

日本人は何事も過剰反応する悪い癖がある。すでにわかっていることなのに、問題をあおり立てパニック状態になる。普段から手を打っていれば冷静に対応できるはずだ。

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