情報技術の高度化で顕在化するリスク、国際的なルール作りを急げ
高額で不要な高機能が多すぎ、その割に使いにくい……。
国内だけでしか通用しない、「ガラパゴスケータイ」と揶揄されながらも、独自の機能性と使い勝手を追求して育ってきた日本の携帯電話市場。それはそれでよい面もあった。基本ソフトの技術情報が非公開であるために、世界の通信ネットワークから隔絶した存在であったおかげでウイルスからも隔離され、多少の迷惑メール被害はあったものの、重大なサイバー犯罪に対しては安全と見なされてきた。
米国に遅れること4年、日本でもアップルのアイフォーンの発売を契機に、スマートフォンの出荷台数が急激に伸びている。合わせて、ウィンドウズモバイルやウィンドウズフォン7、グーグルのアンドロイド、カナダRIM社のブラックベリーなどに注目が集まり、2010年に入ってからは、低迷する携帯電話市場に上昇気流を巻き起こしている。
スマートフォンを営業の端末として社内ネットワークにリンクするなど、ビジネスツールとしての利用も始まった。10年末、次世代携帯通信網・LTEのサービスが開始されると、通信速度10倍、容量3倍の高速大容量のネットワークになる。
だが、それは同時に、日本の携帯網もウイルスのリスクにさらされる、ということだ。
後手に回る仕組み作り
インターネットに接続できる利便性は、ウイルス被害と表裏だ。さらに、スマートフォンの基本ソフトの技術はある程度公開されている。アプリケーションの追加を促し、顧客サービスを高めるためだ。だがそれは両刃の剣となる。ウイルス製作者にも門戸を開くことになるからだ。
海外ではすでに数百ものスマートフォン専用ウイルスが確認されている。パソコンのウイルス同様、愉快犯から金銭目的に変節している。もはやガラパゴスなどとのんきに構えてはいられない。