進む円高、長期戦略を欠く政府、狂騒に翻弄された日銀

進む円高、長期戦略を欠く政府、狂騒に翻弄された日銀

静観の構えだった日本銀行が8月30日、またしても政府から追い込まれる形で追加金融緩和策を打ち出した。同日、政府が「経済対策の基本方針について」を発表、協調路線を打ち出したのも、今年6月と同じやり方だ。

しかし市場の反応は鈍く、その後も円高、株安は続いている。為替介入や金融の追加緩和を求める声はすさまじかったが、短期の為替対策が必要なのかは疑問だ。

日銀の白川方明総裁は、「米国経済の不確実性の高まりを反映して為替相場や株価が不安定な動きを続け、わが国の経済についても下振れリスクにより注意が必要」と追加緩和の理由を述べた。

だが、こんな流れは織り込み済みではなかったか。実際、白川総裁は「わが国のバブル崩壊後の経験から、バランスシート調整の厳しさについて、もともと市場参加者や国際機関などよりもかなり慎重な見方をしていた」としている。

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が27日、「経済が大幅に悪化すれば追加緩和を行う可能性がある」として、三つの有力な選択肢を述べたこともプレッシャーになったようだ。とはいえ、その内容も、バーナンキ議長が従来から述べてきた方針と基本的には変わらない。

副作用に注目すべき

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「現在の為替水準は実質実効レート(実質為替レートを貿易量で加重平均したもの)で見れば、過去20年間の平均と比べても多少円安」と指摘、「むしろ、2006~07年に景気が拡大していたのに、超低金利政策を継続し、超円安を実現したことが、製造業の構造調整の遅れや現在の円高方向への水準訂正をもたらしている」と見る。

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