「駅ナカ」起点の飲料自販機革命、JR東日本グループの次世代機に熱視線

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同社が次世代自販機の構想を練り始めたのは3年前。「電話など様々な機械がどんどん新しくなる中で、自販機だけはおカネを入れてボタンを押して、ガタンと取り出し口から商品が出てくる構造が変わっていない。ただ買うのではなく、飲み物を買う体験を通して、JR東日本を利用するお客様の駅ナカ生活を楽しくしたい」と営業本部 自動販売機事業部長兼SV統括室長の阿部健司氏は言う。

最も力を入れたのは、購入者が近づいた時に商品の姿を映し出す「ストアモード」。ボタン操作を無くし、飲料メーカーと共同で考案したそれぞれの商品パッケージは、「みずみずしさ」の表現を重視した。

顧客ごとにお勧め商品を提案することだけが、この次世代自販機の強みではない。高速無線通信を利用して絶えず新鮮なコンテンツを配信し、顧客の個別情報を含んだPOSデータを蓄積していく事で、個別の自販機ごとに客が最も求めている商品だけを提供することも可能になる。

「実は自販機を設置する場所によって、売れる商品が異なる事も分かってきた。例えば、グリーン車の近くはちょっと値段が高めの500mlペットボトルが売れ、喫煙所の近くでは、タバコを吸うため片手で飲める缶コーヒーがよく売れる」と阿部氏は明かす。極端な話だが利用者の支持次第では、ある飲料自販機のラインナップが全部お茶になる、といったようなことが起こる可能性もある。

JR東日本は今後2年間で、この次世代自販機を主要ターミナル駅中心に500台設置する計画だ。「駅ナカ」を起点にした飲料自販機革命が始まった。

(張 子渓=東洋経済オンライン)

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