縮む未来を映す「松坂屋上野店のデパ地下」《それゆけ!カナモリさん》

拡大
縮小

 百貨店は「ハレの日」の象徴であった。特に高度成長期以来、「小売りの王様」の座に君臨し続けてきた。しかし、百貨店売上高は9兆7131億円を記録した91年をピークに減少に転じた。

 もはや「小売りの王様」が君臨する市場という領土は縮小の一途を辿る運命だ。広大な領土を維持する意味はない。必要なのは、小さくとも自らが生きていける、守るべき領土を明確にしてそこでの最適な商売を再構築することが欠かせない。それが、松坂屋上野店のデパ地下の姿なのである。

 もちろん、現在の中高年はしばらくするといなくなる。人の世の定めだ。その前に、次の「小さな領土」とそこでの「最適な商売のしかた」に柔軟に組み替えていくことも欠かせないのである。

《プロフィール》
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
◆この記事は、「GLOBIS.JP」に2010年8月6日に掲載された記事を、東洋経済オンラインの読者向けに再構成したものです。
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