一大産地が被害、どうなる"レタス価格" 全国の27%を生産する川上村で雹害

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雹害を受けた畑(提供:まつの)

そんな川上村を襲った雹害。被害は、どの程度だったのだろうか。

今回は村全域に降ったわけではなく、標高の高い奥のほうの地域が被害に見舞われたという。しかしたとえ一部ではあっても、村の大きな資金源となっているレタスが、雹害を受けたとあっては一大事なのではないだろうか。

川上村農協の販売課に尋ねると、「農業は自然相手のものだから、ある程度は仕方ないと思っている」と、淡々と受け止めている。とくに今年は各地で豪雨が起こっており、さまざまな野菜に影響が出ている。川上村にとっても、雹の害だけが特別というわけではない。今回の雹害について「あまり大きな話題にしたくない」というのが村や生産者の本音のようだ。「価格が上がっているときばかりに話題にされてしまいます。安く、たくさん出回っている旬のときに宣伝してくれるといいんですが」(川上村農協販売課)。

出荷最盛期に雹害

ただ、個々の農家の様子を聞いてみると、その実害の大きさが改めて感じられる。2001年より真空予冷設備を備えた集荷センターを運営し、現在は地域の契約農家とともに減農薬レタスなどの生産を行っている株式会社まつのは、被害状況について次のように説明する。

「弊社の契約農家に限って言えば、レタス約1万ケース、リーフレタス約1500ケースほどの作物が、商品価値を失う被害を受けました。被害の程度には農家によって大小ありますが、本来であれば出荷最盛期を迎える時期の雹害は、今期の収支へ大ダメージを与えました。30年以上生産をしてきているベテラン農家も経験したことのない被害と言えます」(専務取締役・曽我博之さん)。

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