JR東社長「運賃値上げ、ローカル線、すべて話そう」 鉄道から小売まで語り尽くす長編インタビュー

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――1両まるごと荷物専用車両になったら1両分の旅客収入が得られるくらいの収入が見込めるのですか。

うーん、そこは人に乗っていただくほうが収入的にはいいんだけど、今使われていないインフラを活用できるという点ではプラスになる。

――他社の事例を見ると、荷物輸送は駅での積み下ろしの人手確保やそのコストがネックになっているようです。

おっしゃるとおり。そこが大きな問題だ。グループ総力戦でコストを抑える工夫をしてやっていく。

地域の足にふさわしいのは何か

――ローカル線については?

線区ごとに特性が違うのできめ細かくやっていく。全国で人口が減少し、今後利用者も減っていく。このままでは運行本数を減らさざるをえない。そのとき鉄道は地域の足としての役割を果たせるのか。むしろオンデマンドのような地域交通のほうが地域の足としてふさわしいのではないか。こんな話を地元の人と話していくことになるが、一律にばしっと斬るような話はしない。地域の事情を踏まえて、個別に丁寧に話を進める。

東日本大震災のときも地元の人と話をして、三陸鉄道さんに移管したり、BRTにしたり、震災で被災したのではないが只見線のように上下分離したりといったバリエーションができてきた。一関ではオンデマンド交通を実施しており、観光と地元の皆様の両方にご利用いただいている。さまざまな組み合わせで地域の交通を考えていく。

秋田・青森エリアに投入している電気式気動車「GV-E400系」(記者撮影)

喜多方―会津若松間では架線レスにしたいという話をさせていただいている。鉄道は単線から複線に、非電化から電化にというのが近代化の歴史だったが、電化から架線レスに向かうのが未来の鉄道の姿。できるだけ地上設備を減らすことで性能は変わらないまま安定性は高まる。環境にも優しい。

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