2022年、「コロナ後」にらみ動き出す鉄道新時代 ダイヤ改正で大規模減便、久々の大物新路線も

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JR各社では国鉄時代に製造された車両の淘汰がさらに進む。JR東海は3月、中央本線に新型の近郊型電車315系を投入。国鉄時代末期に製造された211系電車を置き換え、JR各社の中で初めて全車がJR発足以後に導入した車両となる。

JR東日本は2021年に房総地区や相模線に導入を開始したローカル線区向けの通勤電車E131系を日光線や宇都宮線にも投入。これらの路線を走る205系電車を置き換える。JR発足後初期の車両も姿を消していく。

比較的短命という点では、JR北海道の特急車両キハ283系も春のダイヤ改正で特急「おおぞら」の定期運行から撤退し、全車が引退する。同車両は1997年に営業運転を開始した振り子式ディーゼルカーで、主に札幌と道東の所要時間短縮に貢献してきた。

値上げと値下げ、それぞれの動き

コロナ禍の影響が長引く中、今後注目されるのは「運賃値上げ」の動きだ。2023年春に値上げの方針を示している東急電鉄は1月、国土交通省に運賃改定を申請する予定だ。同社の発表によると、改定率は10数%で、実質的な増収率は10%未満を想定。初乗り運賃は130円から140円へと10円の値上げとなる見込みだ。

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運賃値上げは、ほかにも近鉄が検討している。また、静岡県の遠州鉄道は2月1日に、消費税増税に伴うケース以外では39年ぶりとなる値上げを実施し、初乗り運賃を120円から140円に引き上げる。

特急料金やグリーン料金も上がる。JR東日本は新幹線や特急のグリーン車など特別車両の料金を引き上げる。また、同社やJR北海道、西日本は山陽新幹線を除く新幹線の指定席料金に通常期より400円高い「最繁忙期」を新たに設定。混雑するシーズンは実質的に値上げとなる。

一方で値下げの動きもある。小田急は3月から、ICカード使用時の小児運賃を全線均一50円に引き下げる。子連れで利用する際の負担を減らし、子育てに適した路線をアピールする狙いだ。また、運賃の高額さで知られる北総鉄道は10月に平均約15%、通学定期については64.7%の運賃引き下げを実施する。

2020年以来、コロナ禍というトンネルを走り続けてきた鉄道界。2022年は、その出口が少しでも見えてくる年になるだろうか。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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