年末年始「丁寧」を意識すると最高に充実する理由 人生の質を「爆上げ」する方法

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僕自身も、書を書くときに心が平穏な状態でないと筆が乱れます。でも、そこで丁寧に墨をすったり、筆にその墨を丁寧になじませたりしていると、マインドフルネス状態になって自然と心の落ち着きを取り戻すことができます。

そこから派生して、いまでは好きではなかった髪を乾かすドライヤーの時間も、

・おもむろにドライヤーのスイッチを入れ、吹き出す風を味わう
・湿っていた髪の毛が乾いていく、その刻一刻の変化を味わう
・すっかり乾いた部分と、まだ少し湿っている部分の違いを味わう

 

といったように丁寧に感じてみることで、「早く乾けー!」というイライラした気持ちとも無縁になりました。

こんなふうに、丁寧に味わうものの範囲を「日常の好きではない行為」にまで広げ、丁寧の回数や時間を少しずつ増やしていけると、幸福な瞬間が日々の中で長く続いていくようになるのです。

「丁寧」=「遅い」、は誤解

ここまで読まれて、少し「丁寧道」に興味を持ってくださった方のなかには、「でも、丁寧に味わっている時間がないぐらい毎日忙しいし……」と思った方もいるかもしれません。

しかし、一つお伝えしておきたいのは、「丁寧」≠「遅い」ということです。丁寧の反対は、遅いではなく、「雑」です。

考えてみれば、元メジャーリーガーのイチロー選手のような人は、ピッチャーの投げた球に対して、どんな角度でバットを入れるか、どのタイミングで足を上げるか等を、一瞬のうちに丁寧に判断して実際の動作に移していますよね。

他にもモータースポーツの場合なら、一瞬のハンドル操作が丁寧でなかったら、すぐにクラッシュしてしまうでしょう。

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日常生活においても、先程例に挙げたドライヤーの場合、焦ろうが丁寧にやろうが、髪が乾くまでの時間は変わらないですよね。

仕事でもせかせかした気持ちで時間を短縮したつもりでも、実際にはせいぜい5分程度しか早まっていない、むしろミスが見つかって余計に時間がかかることも少なくないでしょう。

そんなふうに、「丁寧」にメリットはあれど、多くの人が感じていた「遅い」というデメリットは実は存在しないのです。

ゆとりがあるから、「丁寧」にできるのではありません。「丁寧」にできるから、ゆとりは生まれるのです。

年末年始、せっかくの楽しいはずの時間を、気がかりな心配やイライラとともに過ごすのではなく、目の前のおいしいグルメや家族との触れ合いを丁寧に味わい尽くすことで、ぜひ幸福度の高い休暇をお過ごしください!

武田 双雲 書道家

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たけだ そううん

1975年熊本県生まれ。東京理科大学卒業後、NTTに就職。約3年後に書道家として独立。音楽家、彫刻家などさまざまなアーティストとのコラボレーション、斬新な個展など独自の創作活動で注目を集め、映画「春の雪」「北の零年」、NHK大河ドラマ「天地人」など、数多くの題字、ロゴを手がける。フジロックフェスティバルや、ロシア、スイスなど世界中から依頼を受け、パフォーマンス書道、書道ワークショップを行なうとともに、2013年には文化庁から文化交流使に任命される。2017年には体に優しいオーガニック食材や発酵食品を使った店舗のプロデュースを手がけ、湘南に「CHIKYU FARM TO TABLE」を、翌年には浅草にCHIKYUの姉妹店「MISOJYU」をオープン。

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