「大東亜帝国、MARCH…」誰がいつ名づけたのか? 実はたくさんある「大学グループ」誕生秘話

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「MARCH」「日東駒専」を発案したのは、長年、旺文社の『螢雪時代』編集長をつとめた代田恭之さんである。

いまから10年近く前、代田さんを訪ね、大学グループ名の誕生秘話を聞いたことがある。

「全国の高校や大学をまわって、大学受験について講演をすることが多かった。よく出張で長旅に出たものです。そんなとき、旅館で酒を飲みながら、大学名で語呂合わせをよく考えました。講演で聴衆が眠くならないよう、インパクトがある名称を考えたかったのです。受験生に大学を身近に感じてもらうよう、そして、つらい受験勉強を和ませてあげようという思いからです。いくつかの大学を同じような難易度、似たような歴史と伝統、そして近隣地域を組み合わせて、グループ分けしました」

代田さんは大学受験業界で名コピーライターぶりを発揮し、数々の作品を生み出した。

○「日東専駒成成神」(にっとうせんこませいせいしん)。「日東駒専」に成城大、成蹊大、神奈川大を加えた。

○「大東亜拓桜帝国」(だいとうあたくおうていこく)。「大東亜帝国」に拓殖大、桜美林大を入れたもの(帝=帝京、国=国士館)。

○「関東上流江戸桜」(かんとうじょうりゅうえどざくら)。関東学園大、上武大、流通経済大、江戸川大、桜美林大をさす。

○「流淑関白麗山上江」(りゅうしゅくかんぱくれいさんじょうこう)。流通経済大、淑徳大、関東学園大、白鴎大、麗澤大、山梨学院大、上武大、江戸川大だ。

産近甲龍、摂神追桃…関西の大学も

関西の大学もこう名づけた。

○「産近甲龍」(さんきんこうりゅう)、「産近佛龍」(さんきんぶつりゅう)。京都産業大、近畿大、甲南大、龍谷大、佛教大のグループ。

○「摂神追桃」(せっしんついとう)、「神桃追帝」(しんとうついてい)、摂南大、神戸学院大、追手門学院大、桃山学院大、帝塚山大をまとめたグループ。

○「六甲の龍谷峡の大螢光」。六甲の龍谷=甲南大と龍谷大、峡=京都産業大、大=大阪学院大、螢=大阪経済大、光=大阪工業大をさす。

叙情的なネーミングである。漢詩のようにも聞こえる。

代田さんの最高傑作はこれであろう。首都圏の女子大をまとめたものだ。

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