回復道半ば「映画興行」21年の結果と22年の期待作 ハリウッド大作とディズニーが浮上のカギ

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そうした結果、10月までの興収では、2020年比120〜130%ほどとなっていた。ただ、2020年は10〜12月で『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(興収403億円)が記録的なヒットとなり年間興収を大きく底上げした。今年はそれに代わるメガヒット作が秋になかった。12月公開の『マトリックス レザレクションズ』『劇場版 呪術廻戦 0』『99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE』『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』『キングスマン ファースト・エージェント』などの期待作はあるものの、2020年比では減速する可能性が高い。

庵野秀明総監督の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は100億円を超す興行収入を記録。今年を代表する1作となった ©カラー

ただ、作品ごとに見ていくと、コロナの影響をものともしない特筆すべきヒットが生まれている。まずは今年唯一の100億円越えとなった『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(3月8日公開、12月15日時点の興収102.8億円)。新劇場版シリーズ4部作の最終作にして、前3作それぞれの倍近くになるシリーズ最高興収を記録。その作品性とともに今年を代表する1作となった。また、定番の人気シリーズ24作目『名探偵コナン 緋色の弾丸』(4月16日公開)は興収75億円超えのヒット。7月16日公開の『竜とそばかすの姫』(2021年12月上旬時点の推計興収65億円、以下同)も含め、アニメ作品は今年も好調だった。

コロナ影響が少ない若者向け映画がけん引

一方実写は、2020年夏公開から延期となり4月23日に封切られた『るろうに剣心 最終章 The Final』(興収43億円)と、6月4日公開の『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(興収24億円)が2部作合わせて70億円に迫る数字を記録した。

さらに、7月9日公開の『東京リベンジャーズ』は、人気漫画の実写化作品だが、コアなファン層にも支えられ、興収44億円と、2021年の邦画実写No.1のヒットを記録した。オリジナル作品も1月29日公開の『花束みたいな恋をした』が、若い世代の間で口コミが広がり、ロングランヒット。最終的には興収38億円と大健闘した。

『東京リベンジャーズ』コアなファン層にも支えられ、興行収入44億円を大健闘 ©和久井健/講談社 ©2020映画「東京リベンジャーズ」製作委員会

コロナ禍においてもコアファン層を持つシリーズ作品や、人気漫画原作の映画化作品は、しっかりと観客を動員している。平時でもヒットする作品群ではあるが、社会情勢の影響を受けない、ファンのモチベーションの高さが鮮明となった。

また、これらの作品は若い世代が観客の中心で、同世代はコロナのなかでも観たい作品があれば映画館に行くことが改めて示された。コロナの影響が続いた今年は、若い世代向けの映画がヒットした1年だったと言えるだろう。

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