回復道半ば「映画興行」21年の結果と22年の期待作 ハリウッド大作とディズニーが浮上のカギ
これは洋画だけの問題ではない。映画界がここ数年抱えていた構造的な課題で、コロナ禍によってその分断がより進んでいることがわかる。アメリカでは現在、「劇場公開から配信まで45日間」を設けるのが一般的になりつつある。日本もそれに追随するのか、日本の商習慣に寄った独自のルールを作るのか。2022年は日本映画界のひとつの節目になる年かもしれない。
さて、2022年の興行はどうなるか? 映画ジャーナリストの大高宏雄氏は「この2年間は通常の興行分析がなかなか難しかった。来年もコロナの状況によるが、実写もアニメも邦画はコロナ禍に積み重ねたノウハウがあり、これまでに成功してきていることをこの先もやっていくと思う。ポイントになるのは洋画だ。2022年はハリウッド大作が多いので一時的には興収は上がる。しかし、配信の状況も大きく影響してくると思われるので油断はできない」と予測する。
固定ファンのいるアニメは作品ラインナップにも安定感があり、人気原作の実写化やテレビ局映画など若い世代向けの作品が好調な邦画実写もコロナの状況にかかわらず動員が期待できる。
ハリウッド大作が牽引できるか
全体の底上げのカギになるのはやはり洋画だ。動向は読みにくいが、1980~90年代のヒット作のシリーズ続編などの大作が、まずは追い風になりそうだ。
とくに『トップガン マーヴェリック』や『ジュラシック・ワールド/ドミニオン』『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』『ザ・バットマン』などは、コロナで客足が鈍った年配層を映画館に戻すきっかけになることが期待される。
これ以外にも『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』『モンスターズリーグ』『ミニオンズ フィーバー』『SING/シング:ネクストステージ』といった大作やシリーズ続編も控えている。
2022年は今年からさらに年間興収が回復することが予想される。ただし、問題はそこからだ。大高氏は「日本映画界は邦画と洋画が両輪となって連動しないと活性化しない。ひとつ危惧するのは、洋画に押し寄せている配信へのシフト強化が、邦画にどのような影響を与えていくか。この2年以上に、これからは先が見えなくなっている」と指摘する。
コロナ禍からの年配層映画ファンがどれだけ戻るか、そしてここ2年配信と興行の試行錯誤を続けたディズニー作品がどう方向性を固めるかが注目点となりそうだ。
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