投手陣の起用に見えたヤクルト高津監督の本気度 激闘プロ野球日本シリーズの舞台裏を振り返る
――改めまして、日本一おめでとうございます。11月27日の日本一決定から2週間弱が経過しての心境をお聞かせください。
高津 日本一直後からお祝いのメールや電話がたくさん来ていたものが、ようやく落ち着いてきました。本来ならシーズンが終わったら、何も予定を入れずに自宅のベッドでダラダラ過ごすのが好きなんですけど、おかげさまで今年は幸せな忙しい時間を過ごしていますね。予定もびっちり入っていて、改めて「日本一になったんだな」って感じています。
――激戦続きで、名勝負となった2021年日本シリーズについて伺います。オリックス・バファローズ相手に、戦前はどのような戦いをイメージしていたのですか?
高津 相手の先発ピッチャーがいいので、うちの選手たちについては、「バッター頑張れ」という思いではなく、「ピッチャー頑張れ」という思いがとても強かったです。オリックスの山本由伸投手、宮城大弥投手がいいことはわかっていたし、彼ら以外にも好投手がいたので、「なかなか点は取れないぞ」という思いでした。
――ということは、ロースコアのゲーム展開を想定されていたわけですね?
高津 そうです、そうです。「2点、3点取られてしまうと厳しくなるぞ」という思いは持っていました。イメージとしては0対0、1対1で何とか粘る。点を奪われたとしても、2対2ぐらいまでの感覚です。それぐらいのゲーム展開にしなければ、このシリーズは勝てないと思っていました。
――実際には、第2戦こそ2対0で勝利しましたが、残りの5試合はすべて1点差ゲーム。事前の想定通りのロースコアでの接戦となりましたね。
高津 もっと具体的にいえば、うちの先発投手ができるだけ長いイニングを引っ張って試合を作っていく。その間に相手先発に球数を投げさせて何とか降板させて、相手の2番手、3番手を登場させる。そんな展開を思い描いていました。結果的に第6戦こそ、山本投手を9回まで投げさせてしまったけれど、それ以外は理想の展開だったと思いますね。