投手陣の起用に見えたヤクルト高津監督の本気度 激闘プロ野球日本シリーズの舞台裏を振り返る
――シーズン中はずっと「中10日」ペースを守ってきた奥川投手ですが、ここで初めて「中7日」登板を託すつもりだったんですね。
高津 実現はしなかったけれど、そのつもりでした。
――そうなれば、第7戦の先発を奥川投手に託し、第2戦で登板した高橋奎二投手も「第2先発」として待機できる。だからこそ、第6戦でスコット・マクガフ投手を回またぎさせて2回1/3イニングを投げさせることも可能となったんですね。
高津 あの試合は結局延長12回までもつれました。勝ったら終わりですが、負けた場合、引き分けた場合、それぞれを考慮に入れたうえで、スコットを最後まで投げさせるという判断をしました。第6戦に関しては、先発の高梨の降板タイミング、2番手の(アルバート・)スアレスの回またぎ、いずれも勝ち、負け、引き分けをすべて想定したうえでの継投でしたね。
第6戦、延長12回の死闘を振り返って
――第6戦は延長12回の死闘となりました。仮にこの試合が引き分けに終わった場合、第8戦の開催も現実味を帯びることになりました。第7戦までは当然のこととして、第8戦のシミュレーションはどの程度なされていたんですか?
高津 詳しいことは言えないけど、第2戦を1勝1敗で終えたときに、当初のプランから別のプランに変更しました。それで試合が進んでいって、第4戦が終わって3勝1敗となったときにまたプランを変えました。このときには第8戦のプランも入っていましたね。
――つまり、日本シリーズ当初は「プランA」でスタートしたものの、第2戦終了後に「プランB」となり、第5戦後には、第8戦も見据えた「プランC」になったということですか?
高津 言えることと、言えないことがあるんですけど、まぁ、そういうことです(笑)。で、3勝1敗で第5戦を迎えるときには、すでに第8戦を考えてはいました。第6戦も延長12回表、ツーアウトランナーなしだったので、「引き分けもあるな」という思いで第8戦のイメージはしていました。
――結果的には二死走者なしから塩見泰隆選手が出塁し、代打の川端慎吾選手にタイムリーヒットが出てついに勝ち越し。そのまま日本一を決めました。
高津 まさか、あそこから1点を取れるとは思っていなかったですね。当たりはよくなかったけれど、今年は本当に川端には助けられました。
――日本シリーズについては、まだまだ伺いたいことがあります。ぜひ次回もこの続きをお願いいたします。
高津 今はまだ来年のことは考えられないけど、今シーズンのことなら、じっくりとお話しできるので、ぜひ次回もよろしくお願いいたします。
(インタビュアー:長谷川晶一)
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