「愛の不時着」のオリーブチキン、知られざる軌跡 韓国味噌味「ヤンニョムチキン」も広まった
そのほか、日本ならではの発想から生まれたアレンジメニューもある。例えばポップチキンは鶏肉をカットする段階で出る端材を使った300g890円の経済的なメニューだ。
そして隠れた人気商品が「チーズボール」。チーズを詰めた生地を揚げたもので、韓国でも人気のスイーツだが、同店では日本人の好みに合わせ、生地にはもち粉を使用、中のチーズにはモッツァレラチーズを使った。
当初目論んだとおり、客の8割は女性。ランチではバーガーやライスの需要が高まり、夕方にはチキンパックのテイクアウトが増えるなど、時間帯に合わせ多様に利用されるチェーンとなっている。
ただ、上記のように運営が確立されるまでにはさまざまな試行錯誤があったようだ。
「スタートしたときは店舗あたりの月商が300万円。もちろん赤字です。モーニングをやったり、サイドメニューを増やしたり、トライ&エラーを繰り返す中で、原価率が50%を超えたこともありました。2018年、笹塚店での月商が1000万円に達したとき、ようやく手応えを感じることができました」(小副川氏)
チェーンとしての展開という意味では、現在も試行錯誤を続けているところだという。2021年1月から、街中の住宅地や郊外、商業施設内のフードコートなど、さまざまな特性をもった立地に展開しているのもその意図からだ。2021年5月からはFC展開もスタートしている。年内にオープンするものを含めると19店舗になる予定だ。
「店舗モデルとしては、店舗あたりの月商750万円程度を目指していきます。ただ、売り上げをアップすることも考えなければなりませんが、適正な売り上げということが大切。売り上げに見合う厨房のスペックなども同時並行で検証していく必要があります」(小副川氏)
「豊かな時間」という観点
11月12月の店舗拡大に合わせて、11月11日には期間限定商品として「タルタルエッグチキンバーガー」などの新メニューも発売。今後も期間限定商品を投入していく予定だ。なお、12月21日からはクリスマス商品として「クリスマス限定BOX」を発売するという。
そして飲食業界でデリバリーやネット通販、サブスクリプションなどのさまざまな販売チャネルが優勢になる中、外食チェーンとして勝ち抜いていくために同氏が大切にしたいと考えているのが、“豊かな時間”という観点だそうだ。
「外食の豊かさとは何でしょうか。例えばフレッシュさ、シズル感、雰囲気などが考えられますね。コロナで時間に対する消費者の方の感度が変化しており、豊かな時間を過ごしたいというニーズが高まっています。bb.qオリーブチキンカフェでは、ファストカジュアルとして手軽にそうしたひとときを過ごしていただける場所をつくっていきたいと考えています」(小副川氏)
小副川氏は新業態の開発、運営にあたり、これまで居酒屋とは違うエッセンスを取り入れることを考えてきたそうだ。しかし外食チェーンとしての豊かさを提供していく意味では、居酒屋で培ってきたノウハウなども加えていきたいという。代表的なものとしては接客が挙げられる。テーブルサービスを伴う居酒屋よりは接触機会が減るものの、注文時や商品の受け渡しの際、できあがりを待っているお客への声かけの機微などだ。
接客でいかに外食の魅力を伝えるか。FCを中心に多店舗を展開していく中で、1つの大きな課題であり、またチェーンとしての差別化のチャンスともなるだろう。
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