欧州の金融政策正常化を阻むコロナ感染再拡大

今後1年間はドル>ユーロ>円の強弱関係は不変

金融市場の視点では感染再拡大がECBの正常化プロセスにどのような影響を持つかが注目される。次回12月16日の政策理事会はパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の存続可否を決める予定で、順当にいけば、2022年3月での終了が決断されるはずだった。だが、仮にも「パンデミック緊急対応」の名を冠したプログラムの打ち切りを感染再拡大の最中に決められるのか。

本来、大きな政策変更はスタッフの経済見通しが改定される12月に合わせたいところだが、「12月会合で検討を開始し、1月会合で決める」という時間稼ぎも十分ありうる。欧州に限らず感染の拡大・収束については正確な理由がわかっておらず、「単なる周期性では?」とも言われるため、「後で決める」は賢明な一手になる可能性もある。

インフレの下で緩和継続も認めがたい

PEPPの週間購入額に目をやると11月は最初の2週間で156億ユーロ、183億ユーロと10月平均(週間150億ユーロ)から加速が見られる。9月会合で購入ペースの減速をうたった割にはその影響はあまり出ていない。10月下旬から確認され始めた感染再拡大の影響を考慮してのことだろうか。

とはいえ、世界的に問題視されているインフレ高進は大陸欧州にとっても大きな問題であり、軽々に緩和継続を口にしたくないという事情もある。進むにしても退くにしても逡巡を迫られる状況にあり、ECBにとっては厄介な状況が現れたとしか言いようがない。

11月19日、ドイツのシュパーン保健相は未接種者にとどまらず、ワクチンを接種した人も含めたロックダウンを示唆した。近く発足するショルツ首相(社会民主党出身)率いる新政権の対応が注目される。域内GDP(国内総生産)に関して言えば、既に10~12月期の3分の2は消化されており、この期間のマイナス成長は回避できるだろう。しかし、1~3月期への不安は残る。繰り返しになるが、12月に大きな決定を控えるECBにとって非常に厄介な状況である。

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