リニアの強敵?「ハイパーループ」実現への着地点

音速長距離走行は無理筋、都市内移動が適切か

では、ハイパーループの超音速走行の開発がクリアできたとして、実際に営業運転するためにはどのような課題があるのだろうか。コストはもちろんのこと、チューブや駅といったインフラの開発などに関する情報はあまりにも少ない。

そこで、ハイパーループの開発企業やハイパーループに関心のある事業者や公的機関に技術的なアドバイスを行っているエンジニアリング会社のアラップに話を聞いた。

同社は建築物の構造設計でパイオニア的な存在として知られ、シドニーのオペラハウス、スペインの「サグラダファミリア」などの建設に際し、構造設計を行っている。鉄道分野では、ユーロスターの発着駅であり、ロンドンの陸の玄関口となったセントパンクラス駅の建築設計、インテリアデザイン、輸送計画など多岐にわたる業務を担っている。

「まずは近距離が現実的」

ハイパーループ関連ではオランダ政府からハイパーループのテストトラックを建設するための実現可能性調査を受託するなどの実績がある。ヴァージンハイパーループのパートナー企業のリストにもアラップの名前が見られる。

ヴァージンハイパーループの試験場=2018年(写真:Jorge Villalba/iStock)

アラップによれば、ハイパーループのコンセプトの一つは「航空機の速度とメトロの利便性」の両立にあるという。音速並みの速度にいかんせん注目が集まりがちだが、当事者の間では速度と同様に利便性の向上も重視されているようだ。また、「緊急時の電力、ポッド内の熱管理といった側面に技術的課題が残っている」としており、速度の追求だけでなく安全面の技術向上も欠かせない。

本来なら空路で移動すべき長距離区間を短時間で移動できるのがハイパーループの強みだが、そのような長距離区間にチューブを敷設すると多額の建設費用がかかる。そのため、「将来的には大陸を横断するような長距離移動ができるとしても、まずは近距離から始めるのが現実的」という。

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