HIS、わずか1年で2度目の「コロナ増資」に走る事情 背景には5年以内の神谷町本社買い戻し計画も

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店舗の統廃合に加えWeb販売を磨くなど、ビジネスモデル改革も進めている(編集部撮影)

海外旅行が「消失」したコロナ禍で、2度目の増資となった。

旅行会社大手、エイチ・アイ・エスは11月2日、第三者割当増資と新株予約権の発行で、最大215億円を調達すると発表した。第三者割当増資はアジア系投資ファンドに、新株予約権は同ファンドと澤田秀雄会長に対して割り当てる。

まだ債務超過にはならないが…

HISは昨年も第三者割当増資を香港のファンド、新株予約権を同ファンドと澤田会長が引き受ける形で222億円を調達。ほかにも三井住友銀行などと330億円のコミットメントライン(融資枠)を締結するなど、精力的に資金調達を進めてきた。

また、店舗統廃合や人員出向などのコスト削減に加え、ホテル出店をはじめとする投資計画を大幅に縮小。9月1日には、2020年入居の神谷町(東京・港区)本社を324億円で三井住友ファイナンス&リースの子会社に売却している。

本社売却で調達した資金を含まない2021年7月末時点でも、現金及び預金は977億円(前年同月末は952億円)あり、「当面の資金は確保している」(IR室)との認識だ。7月末時点の自己資本も823億円で、自己資本比率は14.4%。直ちに手当てが必要という状況ではない。

それでも資金確保を急ぐ背景には、複数の事情がある。

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