日本株がちょっぴり上がってもいいと考える理由 「利上げ騒動」のドタバタはいったん終わった

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最後の「グローバル」だが、これは、日本以外の株式市場も分析している、ということにとどまらず、債券(金利)、為替、主要な国際商品価格の動向などをも観測しているという意味合いだ。やはり1人で幅広い市場を追いかけているので、株式だけ、債券だけ、外国為替相場だけを、組織的に深く調査分析している人々に比べれば、どうしても分析内容が浅薄になっているのかもしれない。

しかし、近年は世界の経済も市場も連関性を強め、ある国の景気が別の国の経済に影響を及ぼすのみならず、ある国の債券市場の動向が別の国の株式市場を左右することもある。世界の投資家の資金が、国境を越えて動く度合いが強まっているのだから、それは当然だ。

そうしたグローバルな市場において、1人で同時に世界全体の異なった市場を眺めているからこそ、初めて見えてくるものがあるはずだ。そこに筆者の存在意義がある、と不遜ながら考えている。

債券市場の「金利上昇騒ぎ」をどう見るか

やや前置きが長くなったが、そうした視点からは、このところは海外の債券市場の騒がしさが目についた。主な材料としては、さまざまな中央銀行の金融政策の動向やそれに対する思惑が挙げられる。

まず、10月27日には、カナダ銀行(カナダの中央銀行)が量的緩和政策を終了すると発表した。毎週20億カナダドルの国債を買い入れてきたが、それを打ち切り、保有残高の維持に必要な分の購入だけにとどめる(保有国債が償還されたら、その金額分だけの購入しか行わない)との方針だ。

また「利上げの条件が整うのは2022年後半だろう」との見込みだったものを、2022年半ばに前倒しした。こうしたカナダ銀行の決定は、同国のみならず、隣国アメリカの債券市場にも波乱を引き起こした。

翌28日には、RBA(豪州準備銀行)が3年国債の買い入れを「無言で」見送った。RBAは、3年国債利回りを政策金利(現在0.1%)と同水準に抑えるという金融操作を行ってきた。それに対し、足元の豪3年国債利回りは0.2%前後と、目標より高めで推移していた。それでも買い入れが見送られたため、緩和縮小観測が広がり、中短期債利回りは急伸した。

なお、RBAはこの日の「無言」のあと、11月2日の理事会で3年国債利回り操作の打ち切りを正式に表明した。

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